北栄町の風力発電施設 倉吉の会社が一部譲渡希望し町が検討へ

今後、撤去される方針の北栄町が運営する風力発電施設について、町は太陽光発電などを手がける倉吉市の会社が、施設の一部の譲渡を希望していることを明らかにしました。
これを受け町は、会社側からより具体的な提案を受けることを決め、今後、施設を譲渡するかどうか検討する考えを示しました。

北栄町は9基の風力発電施設を建設し、19年前(2005)から電力を販売しています。
町が、この施設の運営を維持するには、再生可能エネルギーから作られた電力を、通常より高い価格で電力会社が買い取る国の制度を活用し利益を生み出すことが前提となっていました。
このため制度を継続して活用するための申請期限を前に町は、4年前に必要な費用を盛り込んだ予算案を2度、議会に提案しましたが、採算性や周辺住民の健康被害などについて懸念の声があがり、いずれも否決されました。
町は3年前、施設の更新を断念し来年度までで運転を停止し、施設を撤去する方針となっています。
こうした中10日、北栄町議会で議員を対象に行政報告会が非公開で開かれ、町は3月、電気設備工事や太陽光発電などを手がけ、町内にも事務所を構える倉吉市の「エナテクス」が、施設の一部の譲渡を希望していることを明らかにしました。
町が行ったヒアリングに対し会社側は、9基ある風車のうち5基の譲渡を希望し、町内に保守点検の拠点を設け技術者を常駐させて管理することや、将来的な撤去に向けて、予定している運転期間中に、費用を積み立てるといった内容を伝えてきているということです。
これを受けて町は今後、会社側からより具体的な提案を受けたうえで、施設を譲渡するかどうかを検討する考えを示しました。
北栄町の手嶋俊樹町長は「もし施設を譲渡すれば、撤去のためにためていた費用で住民の福祉サービスの向上に寄与できるなど、総合的に考えて判断した。今後、経営状態が悪くなった場合でも、最後まで責任を持って撤去してもらう、管理してもらえるかが大切だ」と話していました。
一方、今回譲渡の希望を申し出た「エナテクス」は「地権者や周辺の住民の方など関係者への説明が特に重要だと思っています。町と協議したうえで適切な時期に具体的な説明をしていきたい」とコメントしています。