乾燥地の農業振興に尽力 鳥取大乾燥地研センター長が最終講義

鳥取大学乾燥地研究センターのセンター長を務め、アフリカなどで乾燥地の農業振興に取り組んできた辻本壽 教授が、3月で定年退職を迎えるのを前に最終講義を行いました。

23日に鳥取市で行われた最終講義には、鳥取大学乾燥地研究センターの在学生や職員などおよそ70人が参加しました。
辻本教授は講義のなかで、研究に必要な小麦などの植物の野生種を採取したり、学会に参加したりするために40か国あまりを訪問したことなどを振り返りました。
また、軍事衝突が続くスーダンの研究機関と共同で進めている高温や乾燥に強い小麦を開発するプロジェクトについて、現地では拠点を移すなどして厳しい状況のなか研究を継続していることを紹介しました。
その一方で、「現在、スーダンで栽培されている小麦のおよそ3分の1は私たちが開発した種が利用されている。戦闘は続いているが、農民たちは今もこの種を使って小麦を栽培している」とこれまでの研究がスーダンの農業の振興に貢献していることを強調しました。
そして「今は平和な日本も次の世代でどうなるかわからない。平和な日本にいることの幸せをかみしめると同時に食料や平和について考えるだけでも世の中がよい方向に変わると思う」と訴えました。
また講義の後にはアメリカや中国など世界各地に住むかつての教え子たちからのビデオメッセージも上映されました。
辻本教授は来月から鳥取大学の特任教授として引き続き学生の指導に当たるほか、スーダンとの研究プロジェクトにも取り組む予定だということです。