大山から自力で下山の3人 “吹雪がひどく道に迷った”

鳥取県の大山に登山に入った男女3人と、25日から連絡が取れなくなっていましたが、26日朝、3人とも自力で下山しました。
警察によりますと3人は、立ち入らないよう呼びかけられている山頂付近のエリアを縦走していて「吹雪がひどく道に迷った」と話しているということです。

山口県宇部市に住む67歳の団体職員の男性と、62歳の会社員の男性、それに47歳の会社員の女性のあわせて3人は、24日に大山に登山に入りましたが、25日午前8時半ごろに警察に電話で「これから下山する」と告げたのを最後に連絡がとれなくなっていました。
その後、26日午前6時前に女性が自力で下山したのに続き、午前7時すぎには、男性2人もそれぞれ自力で下山し警察に保護されました。
このうち67歳の男性が、指の爪がはがれるけがをして病院で手当てを受けていますが、3人とも命に別状はないということです。
警察によりますと3人は、24日に山頂に登り、尾根を縦走してその日のうちに下山する予定でしたが、午後7時ごろ、山頂に近い天狗ヶ峰付近を縦走中に吹雪がひどくなり、予定していたルートから外れてしまったため、その場で夜を明かしたということです。
そして、25日朝から再び下山を始めましたが「悪天候で道に迷い、下山に時間を要した」と話しているということで、警察に対し「お騒がせして申し訳ない」と話していたということです。
警察によりますと、現場の山頂付近の縦走路は、警察などでつくる「大山遭難防止協会」が滑落などの危険が高いため、立ち入らないよう呼びかけているエリアだということです。
琴浦大山警察署地域課の井上将課長は「冬山登山は常にリスクが伴い、特に大山は天候が荒れると非常に厳しい状況になる。アクシデントを想定して、万全の対策と早めの判断をお願いしたい」と呼びかけています。

登山歴およそ30年で、警察とともに遭難事故の捜索活動にも携わる、県山岳・スポーツクライミング協会の神庭進遭難対策委員長は「冬山登山は容赦なく体温を奪われる。なにも装備がなければ一晩救助隊を待つことも不可能で、命の危険につながる。天候が急変しやすいため、登るときは穏やかだったのに帰りは吹雪や、雪で視界がきかなくなる『ホワイトアウト』で道に迷うということがよく起きる」と指摘しました。
その上で「登山届は夏冬関係なく必ず出してもらいたい。たとえ日帰りであっても、何かあった時に一晩その場で過ごせる装備と技術を準備してから山に向かってほしい。天候が悪化したら、引き返す判断をしてもらいたい」と注意を呼びかけました。