宇宙ロボット工学の第一人者 鳥取砂丘で月面探査車の走行実験

宇宙ロボット工学の第一人者で、最先端の月面探査車の研究開発を進めている技術者が、鳥取市の鳥取砂丘で探査車の走行実験を行いました。

実験を行ったのは、東北大学大学院の吉田和哉教授らによるチームです。
吉田教授のチームは、鳥取砂丘にことし7月に開設された宇宙分野の実証拠点施設「ルナテラス」で、開発中の月面探査車を走らせる実験を行いました。
吉田教授は2010年に世界で初めて小惑星の微粒子を持ち帰った日本の探査機「はやぶさ」の開発に関わった宇宙ロボット工学の第一人者です。
2018年まで行われた世界初の「月面探査レース」に挑んだチーム「HAKUTO」では探査車の開発責任者を務め、当時も鳥取砂丘で実験を行っていましたが、ロケットが準備できず月面への到達を断念した経験があり、現在も月面探査に向けた研究を進めています。
14日の実験では、これまでよりも速い分速60メートルほどで進む探査車を遠隔で操作し、月面に見立てた砂丘で斜面を登ったり、障害物をよけたりして、正常に動くかを確認していました。
また、車両に取り付けたカメラで3Dの映像を撮影して地形のデータを集める実験も行いました。
吉田教授は、「近い将来、月面にロボットを送り込む日が来ると思う。さまざまな地形がある鳥取砂丘で実際の探査に備えた有益なデータを取ることができてうれしい」と話していました。