スーパー「トスク」河原店・ふなおか店の2店舗31日閉店

ことし9月末までに、鳥取県東部の全店舗を閉店するスーパー「トスク」は、鳥取市の「河原店」と八頭町の「ふなおか店」の2店舗が31日をもって閉店となりました。
訪れた地元の住民からは、買い物環境の悪化を心配する声が聞かれました。

県東部のJA系のスーパー「トスク」は、鳥取市の「河原店」と八頭町の「ふなおか店」の2店舗を31日で閉店し、残り7店舗をことし9月末に閉店します。
最後の営業日となった2つの店舗では、野菜や肉などを半額にするセールを行い、このうち鳥取市の「河原店」には、地元の住民たちが次々と買い物に訪れました。
そして閉店時間の午後1時を過ぎると、従業員が出入り口の鍵を閉め、カーテンを下ろして営業を終えました。
近くに住む80代の女性は「私は4人家族で若い人たちもいるので、閉店しても買い物に行ってもらうことができるが、1人で暮らしている人は困るのではないか」と話していました。
また、80代の男性は「近くに住んでいるためこれまではすぐに買いに来られたが、これからは遠くまで買い物に出かけないといけない。不便になると思います」と話していました。

また八頭町の「ふなおか店」では、午前10時の開店を前に大勢の買い物客が入り口に列を作り、開店時間を5分ほど早めて営業を始めました。
40年以上スーパーを利用してきたという地元の70代の女性は「閉店は残念で、ここ1週間、毎日通っています。閉店しないようになんとかできないのだろうかと友人や家族と話していました」と述べ、閉店を惜しんでいました。
またスーパーの近くに住む90代の女性は「ス−パーがなくなるのは困ります。もうすぐ車の運転をやめるので、スーパーが車でしか行けない場所になると不便です」と話していました。
閉店時間の午後1時過ぎには、店員らがスーパーの出入り口の前に一列に並び「ありがとうございました」とあいさつすると、閉店を見守っていた近所の人たちから拍手が送られていました。

【従業員の雇用は】
トスクに100%出資しているJA鳥取いなばによりますと、2つの店舗ではパート社員も含め従業員があわせて17人いるということです。
正社員については、別の部署に配置換えをするほか、別の店舗で働くことを希望するパート社員については、引き続き店舗を変えて業務にあたってもらうということです。
また2つの店舗の土地と建物はいずれもJA鳥取いなばが所有していて、閉店後の店舗の活用策については、今後検討していきたいとしています。

【買い物環境確保の動き】
「ふなおか店」が閉店した八頭町では、住民の買い物環境を確保するために、食料品を車に積んで販売する「移動スーパー」に依頼して、閉店した店舗の隣にある町有地に出店してもらう新たな取り組みを7月29日から試験的に始めています。
「移動スーパー」は今後およそ1か月間、試験的に毎週土曜日の午後4時からオープンする予定で、町では利用者数や住民からの要望を踏まえて、今後の対応を業者と検討することにしています。
八頭町は今後の買い物環境を確保するための取り組みについて「移動スーパーのほか、徒歩や自転車でトスクに買い物に行っていた住民を車で送迎する取り組みを試験的に実施したい」と話しています。

鳥取県では、閉店する店舗がある自治体が買い物環境の維持に向けて実施する事業に必要な支援をしていく方針を繰り返し強調しています。
また鳥取県では、食料品などの移動販売をする民間事業者に、車両の購入費用の半額を500万円を上限に補助する制度を設けています。
閉店した河原店の周辺地域では、県から補助を受けた民間事業者が6月から週に2回程度、移動販売を実施しています。