鳥取砂丘に月面探査車の実証実験行う拠点施設が完成

宇宙関連産業の創出を目指している鳥取県は、起伏のある砂地が月面に似ているとされる鳥取砂丘に、月面探査車の実証実験を行う拠点施設を完成させ、7日、記念の式典が開かれました。

鳥取県は、成長分野として期待されている宇宙関連産業を基幹産業にして、雇用の拡大につなげようと、宇宙ビジネスの支援に力を入れています。
起伏のある砂地が月面に似ているとされる、鳥取砂丘西側にある鳥取大学乾燥地研究センターの敷地内には、県が4000万円あまりをかけて、月面探査車の実証実験を行う拠点施設を完成させ、記念の式典では、平井知事や鳥取大学の学長など関係者がテープカットを行いました。
そして月面探査車のタイヤの開発を目指している大手タイヤメーカーが、デモンストレーションとして探査車を走らせ、施設の完成を祝いました。
平井知事は「実証拠点の活用が広がることで、雇用が生まれたり、部品の発注や技術開発などで県内企業が携われたりするチャンスもある。若い人が地元に夢を持つことができる魅力ある産業の核に宇宙産業を成長させていきたい」と述べました。

【県内企業は波及効果に期待】
鳥取砂丘に月面探査車の実証拠点が完成したことで、県内企業からは今後、宇宙ビジネスが創出され、その波及効果に期待する声が寄せられています。
鳥取市にある従業員3人の金属加工会社では、デジタル技術を駆使して、高い精度で金属加工ができる技術を強みに3年前、宇宙関連産業に進出しました。
さまざまな企業の代表に直談判して仕事を受注し、これまでに超小型人工衛星のボディや、国際宇宙ステーションで使われる顕微鏡などの部品製造に関わってきました。
この会社では、実証拠点を活用する企業が今後増えれば、実験を行う企業からの仕事の発注も増えるのではないかと期待を寄せています。
益山明子社長は「実証拠点を大手企業が使う中で、設計の段階では確認できなかった不具合が発生することも想定される。部品の提供に加え、不具合の解消につながる提案もできるかもしれないので、大手企業と仕事ができるチャンスに期待しています」と話していました。