県立中央病院で臨床工学技士がカテーテル操作 医師法抵触か

鳥取市の鳥取県立中央病院で、2020年3月までの半年間にわたって、患者の心臓内に挿入された「カテーテル」と呼ばれる細い管の操作を、医師の資格がない臨床工学技士に行わせていたことがわかりました。
厚生労働省は、医師以外の医療行為を禁じた医師法に抵触するおそれがあるとしています。

鳥取県立中央病院によりますと、2019年10月から2020年3月までの半年間にわたって、心臓内科の医師が不整脈の患者に対し「カテーテル」と呼ばれる細い管を、太ももの付け根から血管を通じて心臓内に挿入し治療を行った際、立ち会っていた臨床工学技士にカテーテルの位置を調整する「補助操作」を行わせていたということです。
病院が記録を確認したところ、この医師が担当した9人の患者への心臓治療で、臨床工学技士によるカテーテル操作が行われた可能性があることがわかり、病院は9人の患者に対し経緯を説明したということです。
いずれも健康被害はなかったとしています。
臨床工学技士は、医療機器の操作や管理などを担う国家資格ですが、医師法では医師以外の医療行為を禁じていて、厚生労働省は「医師法に抵触するおそれがある」としています。
この医師はすでに病院を退職していて、病院の調査に対し「医師の指示があれば臨床工学技士が操作していいと思っていた」と話しているということです。
また当時の院長も、医師の人数が足りなかったとして「やむをえない時は、臨床工学技士が操作するのも差し支えない」と判断し、現場に伝えていたということで、その後、顧問弁護士から「このようなことは行わない方がよい」という見解が示されたため、やめるよう指示したということです。
当時、副院長だった鳥取県立中央病院の※廣岡保明 院長は「当時は臨床工学技士に認められる業務が法令上あいまいで、国が可能な業務を広げようと議論を進めていた時期だった。法令違反だったかどうかは現時点でも判断できない」と説明しています。

※「まだれ」に「黄」