「ジェンダー・ギャップ指数」鳥取「行政」男女格差最小で1位

「国際女性デー」の8日、地域ごとの男女平等の度合いを示す「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」が公表され、鳥取県は「行政」の分野で男女格差が最も小さいとして1位となりました。

「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」は、上智大学の三浦まり教授らでつくる「地域からジェンダー平等研究会」が、都道府県ごとの男女平等の度合いを、政治・行政・教育・経済の4つの分野で分析し、公表しました。
それによりますと鳥取県は、47都道府県のうち行政が1位、経済が3位、教育が5位、政治が23位でした。
男女格差が最も小さいとして1位になった行政では、県や市町村でいずれも課長級以上の女性が多かったほか、県職員の男性育休の取得率が44.3%と全国で最も高くなりました。
この結果について鳥取県は、対外的にやりとりする業務や、県の政策決定に関わる分野に女性職員を積極的に配置することで、女性管理職の割合を引き上げた結果だと分析しています。
また管理職を、部下の育児や介護の状況などを把握し業務を適切に割りふる「イクボス・ファミボス」として位置づけ、その取り組み状況を人事評価の基準のひとつとしたことで、女性の働きやすい環境づくりにつながったことも要因の一つだとしています。

鳥取県によりますと、県職員の女性管理職の割合は、2013年度までの6年間およそ11%で推移していましたが、2014年度から徐々に増加し、今年度は603人の管理職のうち22.7%にあたる137人が女性となっています。
内閣府のまとめでは、女性管理職の割合は7年連続で全国1位です。
60歳以上の人のスポーツや文化の祭典「ねんりんピック」などを担当する課で、課長を務める吉野知子さんは、1992年に県の職員になり、2人の子どもを出産したあと育児休業制度を使うなどして仕事と子育てを両立し、2019年に管理職に昇進しました。
吉野さんは「入庁した当時、女性管理職は自分の周りにはいなかったが少しずつ増えてきたことで、経験を積んできた女性管理職にノウハウを教えてもらうことはあったし、相談しやすい状況になってきた」と話し、およそ30年前に入庁した当時と比べ、女性管理職が身近になってきたと感じています。
鳥取県は、仕事と子育て・介護の両立を支援する上司として「イクボス・ファミボス宣言」を管理職全員が行い、その取り組み状況を人事評価に反映させていて、吉野さんはみずからの経験を踏まえ、部下に積極的に声をかけて状況を把握し、業務を適切に割りふるよう心がけています。
吉野さんは「自分が育休制度を使った時には、周りの職員や上司に支援してもらったので、みんなで助け合う雰囲気や職場の環境は、どの職場にも引き継いでいきたい。部下が制度の利用をためらったり遠慮したりすることがないよう支援していきたい」と話していました。

「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」の行政分野で1位となったことについて、鳥取県の人事企画課は「個人の能力と経験に応じて素直に登用してきた結果というのが正直なところだ」としています。
鳥取県によりますと、管理職が「イクボス・ファミボス」として子育てや介護を支援する取り組みで、育児休業を機に辞める女性職員が減り、管理職に登用されるまで働き続ける女性が増えたほか、男性職員の育児休業の取得にもつながっているということです。
今後の取り組みについて県人事企画課は「近年は新規採用の職員も、男女半分ずつぐらいになっている。今後も男女問わず個人の能力と経験に基づいて登用していけば、おのずと女性管理職の割合は50%に近づいていくと考えている。今後ますます働きやすい環境整備を進め、鳥取県の女性活躍の推進が、ひいては社会全体の女性活躍につながってほしい」と話していました。