大山で雪崩 スノーボードの2人がけが

31日昼前、鳥取県の大山でスノーボードをしていた男性3人が雪崩に巻き込まれ、このうち40代と50代の2人が、足の骨を折るなどのけがをしました。

31日午前11時すぎ、大山町の大山のスキー場ではないバックカントリーで、スノーボードをしていた男性から「雪崩で3人のうち2人がけがをした」と消防に通報がありました。
2人は消防防災ヘリコプターで救助されて病院に運ばれ、岡山県の49代の男性が右足の骨を折る大けがをし、高知県の52代の男性が右肩を脱臼するけがをしました。
通報した兵庫県の男性は自力で下山しているということです。
警察によりますと、3人はいずれも事前に登山届を提出していたということです。
3人は登山道を歩いて登ったあと、山頂からスノーボードで滑り降りていたところ、大山の南側の二ノ沢付近で、雪崩に巻き込まれたということです。
雪崩は山頂近くで発生し、幅およそ50メートル、長さおよそ500メートルにわたって崩れたとみられるということです。
大山を含む鳥取県内には31日未明から、雪崩注意報が出されています。

31日に大山でバックカントリースキーをした境港市の60代の男性は「二ノ沢はしょっちゅう行きますが、きょうは気温が高かったので、なだれが怖くて近づきませんでした。二ノ沢は斜度が急で、以前降った雪が溶けて固まった上に、新しい雪が積もるとなだれが起きやすくなります」と話していました。
また雪の状態については「湿った雪が深く積もっていて、一度転んだら起き上がれず、蟻地獄のように埋まって、遭難してしまいます。スキー板もあまり滑りませんでした」と話していました。
そのうえで「人がいるゲレンデでなく、木の緑と雪の白と岩の黒を、自分だけで楽しめるのがバックカントリースキーの魅力ですが、危ないと思う場所では遊ばないようにしています」と話していました。

「バックカントリー」は、スキー場のコース外にあたり、私有地ではない山岳エリアのことで、滑走は禁止されていません。
スキー場にはない急な傾斜や、誰も滑っていないふかふかの雪の上を滑ることができるため、人気が高まっています。
しかし事故も相次いでいて、警察庁によりますと全国では毎年100人前後が遭難していて、ことしに入ってからは、なだれに巻き込まれるなどして長野県で4人が死亡しているほか、北海道と群馬県でそれぞれ1人が死亡しています。

スノーシューをはいて、冬の大山を散策するツアーを行っている「大山観光局」の車浩一さんは「森の中をスノーシューで私たちが歩く時があるが、スキー板などの跡がたくさん残っているのを多く見るようなった。大山でバックカントリースキーをする人は最近増えていると思う」と話しています。
雪崩が起きた二ノ沢については「時期によっては雪崩も起きやすい場所なので、あまり我々のツアーでは近づくことはない場所だ」と話していました。

大山のふもとにある「大山ますみず高原スノーパーク」の影山斎人さんは「スキー場からほかのエリアに侵入して滑るのは、私たちのスキー場では基本的には禁止していて、滑走エリアの中で楽しんでもらうようにしています。バックカントリースキーも山の文化の一つだと思いますが、あとはお客様の自己責任という形になると思います」と話していました。

今回、事故があったのは山頂南側の二ノ沢です。
ここはどんな場所なのか。
大山でバックカントリースキーの経験がある男性は「雪崩の危険性があると先輩方に教えていただいたのでリスクはとらないっていうことですね。なだれた跡がけっこうある、あっちの方。急な斜面が斜度が強いのかなっていうのが一番なのかなと思いますけど。特に今回みたいな大雪、短期間で積雪が急増したときは表層雪崩が非常に起きやすいかなと思います」と話しています。
大山ではここ1週間で積雪が急増しています。
1月22日の正午は64センチでしたが、31日正午は2メートル2センチ、3倍以上に増えていました。