「熱中症特別警戒アラート」きょうから運用開始

人の健康に重大な被害が生じるおそれがある暑さが予測された場合に新たに発表される「熱中症特別警戒アラート」の運用が24日から始まりました。「クーリングシェルター」に指定された美馬市の薬局では、熱中症の予防を呼びかけるポスターを設置するなど準備にあたっています。

新たに運用が始まった「熱中症特別警戒アラート」は、気温や湿度などから算出する「暑さ指数」の予測値が、すべての観測地点で35以上となった都道府県を対象に、環境省が発表します。

「暑さ指数」が33以上と予測される地域に発表される「熱中症警戒アラート」の一段上に位置づけられ、「人の健康に重大な被害が生じるおそれがある過去に例のない広域的な危険な暑さ」が想定されています。

自治体では、公共や民間のエアコンが効いた施設を「クーリングシェルター」としてあらかじめ指定し、この情報が発表された場合に開放することが求められています。

このうち県内では、美馬市が、24日、6か所を「クーリングシェルター」に指定しました。

指定された市内の薬局では熱中症の予防を呼びかけるポスターを設置するなど準備にあたっていました。

この薬局の薬剤師、武田朱美さんは「地域貢献のため指定を受けた。美馬市は去年も暑かったので遠慮なく利用してほしい」と話していました。

【指定されたクーリングシェルターでは】
「熱中症特別警戒アラート」の運用の開始にあわせて、美馬市では市内のスーパーなどあわせて6か所を、24日、「クーリングシェルター」に指定しました。

このうち2つの店舗が「クーリングシェルター」に指定された市内の薬局では、熱中症の予防を呼びかけるポスターやパンフレットを店内に設置して準備にあたりました。

この薬局には、冷房とサーキュレーターが備えられ、待合室にある、いすで、3人が休憩できます。

また、熱中症の症状など体調が悪い人が訪れた際は保冷剤で体温を下げる対応のほか、隣にあるクリニックを受診するよう勧めることにしています。

今後、スポーツ飲料を用意するなどいっそうの対応をとることにしています。

薬局に訪れた市内の70代の女性は「去年の夏は暑かった。近くの公園で散歩をしているのでとても助かります」と話していました。

この薬局の薬剤師、武田朱美さんは「地域貢献のため指定を受けた。美馬市は去年も暑かったので遠慮なく利用してほしい」と話していました。

【県内ではクーリングシェルターの指定進まず】
県によりますと、これまでに県内では、美馬市以外にクーリングシェルターを指定した自治体は1つもありませんでした。

自治体の中からは「国や県から手続きの進め方について十分な周知がなく指定が進んでいない」という声も上がっています。

これについて、県保健福祉政策課の大野文哉副課長は「制度が始まったばかりで自治体から手続きの仕方がわからないとの 問い合わせがある。改めて各市町村に制度の周知に努めたい」と話していました。

【熱中症は去年、過去最多に】
「熱中症特別警戒アラート」が導入された背景には、毎年、多くの人が熱中症で病院へ搬送され、死亡する人も増える傾向が続いていることがあります。

総務省消防庁のまとめによりますと、徳島県内で去年5月から9月までに熱中症で病院に運ばれた人の数は過去最多の636人にのぼりました。

同じ時期で集計している平成27年以降、おととし、はじめて600人台となり、去年はさらにそれを上回りました。

年齢別では、高齢者が385人と全体の60%を占め、次いで、成人が172人、少年が70人、乳幼児が9人となっています。

発生場所で見ると、住居が286人と最も多く、道路が85人、屋外が64人で全国でも同じ傾向になっています。