徳島大学などがAIで遺体の身元特定するシステムの開発進める

南海トラフ巨大地震に備えて、AI=人工知能を使って遺体の身元を迅速に特定しようという新たなシステムの開発を徳島大学などが進めています。

大規模な災害時、身元の分からない遺体は、歯の治療の痕などを生前の治療記録と照らし合わせることがあり、13年前の東日本大震災でも身元の特定につなげる有効な手がかりになりました。

しかし、遺体の歯の治療の痕などをまとめた「デンタルチャート」と呼ばれる用紙は、歯科医師などが1人ずつ、手作業で作らなければならず、医師の確保が課題になっています。

開発中のシステムは、遺体の口の中の写真を読み込むだけで、AIが医師に代わって「デンタルチャート」を作成します。

実用化されれば、作成にかかる時間をこれまでの3分の1に短縮できるほか、作成から照合、身元の特定までを離れた場所からオンラインで行って、被災地を支援することも可能になるということです。

徳島大学は大阪大学や東北大学と協力して開発を進めていて、現在は患者の口の中の写真やX線写真でAIに虫歯や治療の痕など、人間の歯の情報を学習させています。

歯科医師で、徳島大学の専門研究員の高野栄之さんは「遺体の身元を特定することで、残された遺族の心労を少しでも軽減し、被災地の復興につなげたい」と話していました。