“徳島県産サーモンへ” アメゴを海で育てる試験養殖始まる

川魚のアメゴから徳島県産のサーモンを育てようと海陽町で、アメゴを海で育てる試験養殖が始まりました。

徳島県は、川魚のアメゴが海にくだり、サーモンとして人気の高いサツキマスになる生態を利用して、県産のサーモンを育てようと、アメゴを海で育てる試験養殖を昨年度から行っています。

海陽町にある浅川港では、8日、去年12月から海水を薄めた水槽で慣らしてきたアメゴおよそ2200匹を海に移す作業が行われました。

アメゴは、大きいもので30センチほどあり、トラックから船に積み替えて、港から1キロほど離れた海のいけすに移されました。

海での試験養殖は去年、北部の鳴門市だけで行われましたが、ことしは、南部の海陽町でも初めて行われ、養殖するアメゴも、去年の2倍以上の1万匹に増やしたということです。

養殖する鞆浦漁協の河野亮平組合長は、「漁業者が減るなか、新しい取り組みをしたいと思い試験養殖に参加した。どんな味の魚になるか、いまから楽しみなので、大切に育てていきたい」と話していました。

県水産振興課の吉岡拓也主任主事は「海陽町の海は、鳴門の海より水温が高いので、違う環境でどう育つかを確かめ、養殖業者と協力して、将来は1キロ以上まで育てられたら」と話していました。

【アメゴサーモン養殖とは】
この事業は、徳島県が県産のサーモンを育てて、新たな特産品にしようと、昨年度、始めました。

川魚のアメゴは、自然界では一部が海にくだり、サーモンの一種である「サツキマス」に成長します。

試験養殖では、アメゴを段階的に海水に慣らし、サツキマスに育てて売り出そうとしています。

背景には、アメゴの人気低迷があります。

アメゴは、塩焼きや姿ずしなどで親しまれ、上勝町などで長年、養殖されてきましたが、近年は価格が低下し、生産量は最盛期の3分の1ほどに減少しています。

一方、鳴門市などでぶりやたいを養殖する業者は、水温が低くなる冬は魚を温かい南の海へ移すため、生けすに空きがありました。

県は、こうした養殖業者の技術もいかすことで、収入の向上につなげたい狙いがあります。

昨年度の実証実験ではおよそ4000匹のサツキマスを育て、大きいもので体長およそ40センチ、重さ1キロほどになり、県内外で販売しました。

県は、今年度、海陽町でも養殖して、養殖するアメゴの数を2倍以上の1万匹にして、より大きい個体を増やしていきたいとしています。