阿南市 市長公約の全世帯10万円給付盛り込んだ補正予算可決

阿南市の定例議会は、15日最終日を迎え、岩佐義弘市長が公約に掲げた全世帯への10万円給付などを盛り込んだ補正予算案が賛成多数で可決されました。

事業費はおよそ35億円にのぼり阿南市は、市の貯金にあたる財政調整基金を取り崩すなどしてことし3月下旬から給付を始めるとしています。

阿南市の定例議会では、去年11月の市長選挙で初当選した岩佐市長が、市内の全世帯に10万円、18歳未満の子どもには追加で3万円を給付するための事業費、およそ35億円などを盛り込んだ補正予算案を提案しています。

定例議会の最終日の15日、一部の議員から、国からの支援策を活用して現金を住民税の非課税世帯と子どもにかぎり給付するとして、事業費を27億円あまりに縮小する修正案が出されました。

そのうえで10万円給付などをめぐり討論が行われ「物価高騰の負担感や不安感をできるだけ早く払拭し、市民の暮らしを守るため、財政調整基金をその礎とするのは当然だ」と賛成する意見の一方、「南海トラフ巨大地震に備えるためには基金はいくらあっても足りない。能登半島地震を見てなお、財政調整基金を使っていいと判断できる感覚は間違っている」と反対する意見も出されました。

そのうえで採決が行われ、事業費を縮小する修正案が反対多数で否決されたうえで、補正予算案は原案どおり、賛成15、反対9で可決されました。

これを受けて市は、現金の給付をことし3月下旬から始めるとしていて、市内の3万1500世帯と、高校生以下の1万600人が対象となります。

財源には、
▽財政調整基金の昨年度末時点の残高のおよそ4分の1にあたる、27億円あまりを取り崩したうえで、一般財源として25億円あまりを支出するほか、
▽物価高騰対策の国の交付金およそ9億5000万円があてられます。

岩佐市長は閉会にあたって「市民の皆さんの生活を守るための予算を議会で可決いただいた。能登半島地震の発生を受けて南海トラフ巨大地震など災害に対応できるのかと不安の声が上がるのは当然だと思うが、起こりうる災害への対策も考えたうえでの予算計上となっている。早急にみなさんの手元に届くよう、3月中には支給できるように進めていきたい」と述べました。