鳴門わかめ独自検査 県外の2商品が中国産の可能性高いと判定

徳島の「鳴門産わかめ」の産地を偽装したとして、卸売業者の元代表が在宅起訴された事件をきっかけに、NHKは専門家の協力を得て全国で販売されている「鳴門産わかめ」の産地を民間の検査機関に依頼して分析したところ、2つの商品が「中国産の可能性が高い」と判定されました。
商品を加工した2つの会社は、取材に対し、いずれも「心あたりがない」などと説明し詳しい経緯はわかっておらず、専門家は産地や流通の履歴などを管理する「トレーサビリティー」の仕組みづくりが必要だと指摘しています。

「鳴門産わかめ」をめぐっては、先月徳島市の卸売業者の元代表が、中国産わかめを鳴門産と偽って販売したとして在宅起訴されたほか、徳島県内では、2008年以降の15年間で、食品表示法などに基づき、21件の是正指示や厳重注意が繰り返されてきました。

NHKでは全国のおよそ800のスーパーなどを調べ、取り扱っていた「鳴門産わかめ」のうち専門家の助言をもとに価格が低かったり、産地から離れた場所で販売されたりしている50商品を民間の検査会社に依頼して独自に産地を分析しました。

「安定同位体比分析」と呼ばれるわかめの育った海域を特定する方法で、その結果、神戸市と福岡市のスーパーで、販売されていた2つの商品が、「中国産の可能性が高い」と判定されました。

それぞれの商品を最終的に加工した2社は、取材に対し、「まったく心当たりがない」、「中国産を仕入れておらず、混ぜることはできない」などと産地の偽装を否定しました。

そのうえで、1社は「産地は見た目ではわからず、仕入れ先を信用するしかない」、もう1社も「鳴門産という産地証明をもらっている以上、信用するしかない」などと説明しました。

農林水産省の食品表示Gメンを長く務め、今回の調査に協力した中村啓一元食品表示・規格監視室長は、「検査の結果をもってただちに産地偽装かは判断できないが、産地証明書にいつ集荷して誰が出荷したか識別するコードをつくるなど、鳴門わかめのトレーサビリティーの仕組みづくりが重要だ」と指摘しています。