佐那河内村 保育所虐待問題 保育士の処分や刑事告発を検討

佐那河内村にある保育所で保育士が園児の体をたたく「虐待」や「不適切な保育」などを、あわせて30件、繰り返していたことが明らかになり、村は、保育士の処分や刑事告発を検討しています。

佐那河内村が運営する佐那河内保育所では、おととし保育士2人がこぼれた牛乳を園児に飲ませるなどしたことが村の調査でわかり、村が弁護士や学識経験者に依頼して、詳しい調査をしました。

その結果、おととしからことしにかけて、保育士が、園児の背中や尻をたたいたり吐き出した物を無理やり食べさせたりする「虐待」が15件あったことがわかりました。

また、園児の発達の状態をからかうなど「虐待以外の有害な影響を与える行為」が3件、食事の量を減らしたり、絵本を読んで欲しいという園児に「うるさい」と発言したりする「不適切な保育」が12件あったということです。

関係した保育士は5人で問題の行為はあわせて30件にのぼり、無理やり食べさせられた子どもの中には、食事の時間にどうきが激しくなり激しく泣く子もいたということです。

村によりますと、5人の保育士のうち、2人は退職しているほか、別の2人は自宅待機、残りの1人は勤務を続けているということです。

村は、1日夜、保護者説明会を開いて、岩城村長が謝罪しました。

村は保育士の処分や刑事告発を検討しています。

40代の保護者は「村に保育所はここしかなく、なくなると困るので、正すところは正してほしい」と話していました。

【県が全自治体・保育施設に確認求める】
佐那河内村が運営する保育所で「虐待」などがあったという調査結果を受けて、県は2日、県内すべての自治体と保育施設の担当者に対して、不適切な行為がないか、みずから確認するよう文書で求めることにしています。

【虐待・不適切な保育などの内容の詳細】
調査は、弁護士と学識経験者が今年7月から10月まで行い、関係機関の資料を調べたり、保育所の職員や保護者などから聞き取りをしたりして、「虐待」15件と、「虐待以外の有害な影響を与える行為」3件、「不適切な保育」12件のあわせて30件を認定しました。

(虐待)
▽園児を叱る際、背中や尻、太ももをたたいた。
▽園児が泣いて嫌がるのに、無理やり食べさせ、吐き出した物を食べさせた。一部の園児は、食事の時間になるとどうきが激しくなり、激しく泣くなどした。
▽プリンを嫌がる園児に口からはみ出したプリンを指ですくって口に入れたり、顔を上に向けて口を手のひらで押さえたり、あごを指先で押さえて口を閉じさせようとして無理やり食べさせた。
▽園児が牛乳を飲むのを嫌がり、騒いだことから、その場で立たせ、「いいかげんにしなよ」と言って背中をたたくなどした。
▽園児の昼寝を禁じ、ほかの園児より50分遅れで順次、昼寝を許した。
▽昼寝を遅らせた園児をみずから目覚めるまで放置し、おやつを食べさせなかった。
▽園児が嫌いな食べ物を飲み込むまで座らせ、昼寝の時間になっても放置した。
▽園児の後ろから体を押しつけ、逃げられないようにし、スプーンを口に押し入れて食べさせた。
▽園児を感染症にかからせようとして、感染症の症状を示す園児の鼻水を体に付けたり、キスをさせたり、くしゃみを浴びせたり、密に接触させたりした。
▽口に入れて吐き出したものを食べさせた。
▽下半身をおむつだけで過ごさせた。
▽机にこぼした牛乳をかき集め、コップに入れて飲ませた。
▽園児にことばを教えていた保育士に教えるのをやめさせ、園児の発達を妨げようとした。
▽冬に散歩中、園児の下半身の服の大部分がぬれたのに散歩を続けた。
▽1人で靴が履けない園児を助けず放置し、長時間、園庭で遊べなくした。

(虐待以外の有害な影響を与える行為)
▽冬に散歩する際、園児に防寒着を着させなかった。
▽園児の前で発達をからかう発言をした。
▽園児に「アホ」「バカ」などと言った。

(不適切な保育)
▽室内を走る園児を止めるため、机を飛び越えて捕まえた。
▽園児の便が床に落ちても、ティッシュで拭くのみで、消毒をしなかった。
▽保育中にスマートフォンを操作するなどして、園児から目を離した。
▽園児にホラー映画を見せて怖がらせた。
▽園児が整列する際に、背中をたたいたり、体をつかんで引っ張ったりした。
▽園児の体の特徴をからかう発言をした。
▽食事を半分に減らし、さらに食べたいと要求しても食べさせなかった。
▽紙おむつを2枚重ねてはかせた。
▽理由もなく園児のズボンを下ろしたり、脱がせたりを繰り返した。
▽発達の状態をからかう発言や、「ここはあんたの来る所ちゃうよ、よそに行って」などと言った。
▽ほかの園児が自由に遊んでいるのに、手をつないで園庭を走らせた。
▽絵本を読んでほしいと求める園児に「うるさい」「やかましい」などと言った。