阿波市と2町のごみ処理施設整備 入札不調で「公営」へ

阿波市と隣接する2つの町が整備を進めている新しいごみ処理施設について、管理者の阿波市は、入札不調を理由に、当初、目指していた「公設民営」方式をあきらめる考えを示しました。
入札不調の背景には資材価格の高騰などがあるとみられ、今後、「公設公営」方式を目指す方針です。

阿波市と隣接する板野町、上板町は、共同で使っているごみ処理施設が、およそ2年後に期限を迎えることから再来年8月の稼働を目指して阿波市内に新しい施設を整備する計画を進めています。

市と町でつくる組合は、行政の財政負担を抑えるため、施設の建設や運営を民間に一括して委託する「公設民営」方式を採用する予定でしたが、去年10月、業者の入札を行った結果、応募がなく成立しませんでした。

入札不調の背景には資材価格の高騰などがあるとみられ、管理者の阿波市は今月、市議会で「公設民営」方式での運営をあきらめる方針を示しました。

今後、自治体が主体となる「公設公営」方式に変更する考えで、組合によりますと、施設の維持や管理のための行政の負担が、大きくなる可能性があるということです。

今後、板野町や上板町とつくる組合の議会で最終的に決定する方針です。

阿波市の町田寿人市長は、入札不調について「市民、町民に非常に申し訳なかった。『公設公営』にすれば固定の経費は公で出費できるので、専門的な部分だけ民間に委託する方法のほうが業者が応募しやすくなると思う。同じてつを踏まないためにも『公設公営』の案に至った」と述べました。

【各地で着工遅れや入札不調】
原油高に伴う資材価格の高騰や人手不足による建設への影響は、各地で出ています。

再来年の大阪・関西万博をめぐっては、海外の国や地域がみずから費用を負担して56のパビリオンを建設する予定ですが、資材価格の高騰などで着工が遅れ予定どおり開催できるか不安視する声も上がっています。

また、四国では、世界的な建築家、丹下健三が設計を手がけた高松市にある「旧県立体育館」について、解体するための設計業務で、入札不調が続いたため、県が、随意契約に
切り替えたということです。

【専門家「処理施設は重要度高く 他の事業が犠牲か」】
各地で資材価格の高騰などによる着工の遅れや入札不調が
相次いでいることについて、民間のシンクタンク、徳島経済研究所の蔭西義輝上席研究員は「想定した以上に資材の値段が上がり、ほかの自治体でも補正予算で積み増すなどの対応をとっている。建設業者からすると数年前に作った計画では
危ういと感じるケースが多くあると思う」と物価高が公共事業に影響を及ぼしていることを指摘しました。

その上で、阿波市以外の自治体でも新しいごみ処理施設の建設が進んでいるとして、「ごみ処理施設は市民生活に欠かせない施設で、自治体にとって重要度が非常に高くコストが上昇しても建設しなければならない。道路や橋の新設や修繕などほかの事業が少々、犠牲になる可能性がある」と話していました。