カルテが残っていないC型肝炎患者訴訟 徳島地裁で裁判始まる

出産の際の血液製剤の投与が原因で、C型肝炎に感染したのにカルテが残っておらず国の救済の対象となっていない徳島県内の女性が、国に給付金の支払いを求める裁判が始まりました。

訴えなどによりますと、県内の60代の女性は昭和61年に病院で出産した際、血液製剤「フィブリノゲン」を投与されたことが原因でC型慢性肝炎に感染しました。

C型肝炎をめぐっては平成20年に患者を救済する法律が成立し、血液製剤による感染が裁判で確認できれば、国と製薬会社から給付金が支払われますが、カルテや医師の証言などで血液製剤の投与を証明することが必要です。

しかし、感染に気付いたのは34年後で、カルテは残っておらず、女性は国に対し、カルテがなくても救済を認め、給付金を支払うよう徳島地方裁判所に訴えを起こしました。

12日から始まった裁判で、国側は認否を留保しました。

同じようなカルテのないC型肝炎の患者をめぐっては、全国で集団訴訟が起こされていて、「カルテがないC型肝炎訴訟全国弁護団」によりますと、提訴した原告は760人を超えますが、和解が成立したのは83件にとどまっています。

原告の代理人の藤澤和裕弁護士は「30年以上前の診療行為で法律で定めたカルテの保存期間を過ぎて破棄されたり、医師が亡くなっていたりしていることが多い。原告に立証責任を負わすのは難しく、投与の可能性があるなら広く救済されるべきだ」と話しています。