コウノトリが暮らしやすい環境を 農薬抑えたコメで日本酒造り

徳島県鳴門市で、国の特別天然記念物のコウノトリが暮らしやすい環境を作ろうと栽培している農薬を抑えたコメを使って日本酒を造る取り組みがことしも始まりました。

徳島県で活動するNPOはえさ場を増やしてコウノトリを定着させようと、3年前から地元の農家や酒蔵と協力して、環境に配慮して栽培したコメを使って日本酒を造り、その収益の一部を保護活動に当てる取り組みを進めています。

ことしも日本酒造りのための田植えが始まり、コウノトリの巣の近くにある水田には27日朝、関係者8人が集まり、田植え機で苗を植えました。

植えたのは主に食用に使われる「アキサカリ」という品種で、コウノトリのえさになるカエルやドジョウなどの水生生物が生息できるよう、農薬や化学肥料の量を通常の半分以下に抑えて栽培するということです。

実ったコメは9月下旬に収穫して、年明けに日本酒造りが行われる見込みです。

徳島県には鳴門市を中心にコウノトリが相次いで飛来し、去年1年間に県内で飛来が確認された数は74羽にのぼり、過去最高だった前の年に並んでいます。

コメ農家の鳥養美文さんは「コウノトリがえさを取りやすいように配慮して作業し、共存していきたい」と話していました。