ことでん昨年度決算 3億9600万円の利益で4年ぶり黒字に

ことでん=高松琴平電気鉄道が昨年度の決算を発表し、運賃の値上げや、コロナ禍後の鉄道利用の増加などで、最終的な利益は3億9600万円となり、4年ぶりに黒字に転じました。

ことでんが18日発表した昨年度の決算によりますと、本業のもうけにあたる営業収益は去年5月に運賃を値上げしたことや、新型コロナの5類移行で利用者数が増加したことなどから、前の年度より3億8800万円増えて35億4400万円となりました。

相次いだ踏切トラブルの対策などで経費は大幅に増加したものの、車両のワンマン化などで削減も進めたことから、最終的な利益は3億9600万円となり、4年ぶりに黒字に転じました。

決算について、植田俊也社長は「新型コロナの影響を受けた3年間を乗り切り、利用状況はコロナ禍前には戻っていないが通常の経営状態に戻ってきていて安心している」と述べました。

一方、安全投資に加え過去の借入金の返済の負担も大きいとしたうえで、「人口が増えている地域の駅の利便性や環境を改善するなどして利益をあげ、3路線をきっちり維持していきたい」と述べました。

【ことでんの利用状況】
ことでんは、昨年度1年間の鉄道の利用状況も発表しました。

それによりますと、100円の収入を得るために必要な経費を示す「営業係数」は、すべての路線での平均が90円で100円を下回りました。

100円を下回れば黒字に、上回れば赤字につながるとされています。

8つの区間別にみると、100円を下回ったのは、4つの区間で
▽築港線の高松築港から瓦町が最も低く42円
次いで
▽琴平線の瓦町から一宮が60円
▽長尾線の瓦町から高田が69円などとなりました。

一方、100円を上回ったのは4つの区間で、もっとも高いのは
▽琴平線の滝宮から琴電琴平で406円
次いで
▽志度線の八栗から琴電志度で369円
▽長尾線の高田から長尾で170円などとなりました。

また、1キロメートルあたり1日に平均で何人の乗客を運んだかを示す「輸送密度」も発表しました。

▽琴平線の輸送密度は5686人で、2億8300万円の黒字
▽長尾線の輸送密度は5033人で、7200万円の黒字だった一方、
▽志度線の輸送密度は3020人で、9000万円の赤字でした。

植田俊也社長は定期外の輸送人員が2019年度と比べると8割程度にとどまっているとしたうえで、「訪日外国人や高齢者の日中の移動の戻りが遅い」と述べ、コロナ禍前の水準に戻るにはまだ時間がかかるという見通しを示しました。