「香川現代短歌賞」初の受賞者に高松市の2人

短歌をより多くの人に親しんでもらおうと、香川県歌人会が新しく設けた「香川現代短歌賞」の初めての受賞者が発表されました。

香川県歌人会は、会派や経験、それに住居を問わずに応募できる「香川現代短歌賞」を今年度新たに設けました。

第1回となる今回は、県内外から20首をひとつの作品として16作品が寄せられ、このうち、いずれも高松市に住む
▽大橋春人さん(39)と
▽ひぞのゆうこさん(43)の2人の作品が選ばれ、
17日、高松市で受賞者が記者会見しました。

受賞した大橋さんの作品、「ある老人の最期」は、自身の中に残る亡くなった祖父の記憶や、祖父から聞いた話などをもとに詠んでいます。

この中で、「ビルにぶつかるつばめの一羽□堕ちてゆく彼の最後の視野にきらめく」という一首は大工をしていた祖父が転落事故で視力をほぼ失ったことを「つばめ」にたとえていて、祖父の後悔といった思いを表現しています。

また、ひぞのさんの作品、「真夏日の椅子」は、おととし父が亡くなり、両親がいなくなった気持ちを詠んでいます。

「父も母も死んでしまった夏の日を薄い文庫本に閉じ込めておく」という最初の一首は、自分の好きな本の中に父と母を残すという思いが込められています。

ひぞのさんは「選んで頂いた事に感謝します。今回受賞できて報われた気持ちです」と話していました。

また、大橋さんは「私の中で祖父はこのように生きて亡くなったということを作品にまとめられてよかったです」と話していました。