コウノトリのひなに個体識別の足輪装着 まんのう町

5月、まんのう町で、県内で初めて誕生が確認された国の特別天然記念物のコウノトリの「ひな」に、27日、個体を識別するための足輪が取り付けられました。

5月に、まんのう町の山あいの電柱の上に作られた巣で国の特別天然記念物のコウノトリのひなが誕生しているのが確認され、現在、1羽が育っています。

27日は、コウノトリの繁殖活動などに取り組む兵庫県豊岡市の兵庫県立コウノトリの郷公園の獣医師や飼育員らが現地を訪れ、足輪を取り付ける作業が行われました。

巣は、地上11メートルほどの高さにあり、作業にあたる人たちは高所作業車で近づき、親鳥が巣を離れたところを見計らって、落下を防ぐための網を巣にかぶせ、慎重にひなを箱に移して地上に降ろしました。

27日の県内は気温が上がり、ひなは、暑さで体温が上がってやや苦しそうな様子を見せたことから、凍らせたペットボトルで冷やしながら、作業が進められました。

そして、まんのう町の職員が獣医師らの指導を受けながら重さが12グラムのアルミ製の黒い足輪を、両足にそれぞれ取り付けました。

足輪には、識別番号が入っていて、巣立ったあとの行動範囲や寿命などを調査するのに役立てられます。

ひなは、順調に育っていて、今後、1週間から2週間ほどで性別が判明するということです。

ひなは、あと1か月ほどで巣立つとみられていて、県や町などは、巣を観察する際には、150メートル以上離れ、むやみにエサを与えないよう呼びかけています。

兵庫県立コウノトリの郷公園の吉沢拓祥飼育員は、「環境が良くエサをしっかりもらっていてすごく元気なひなです。巣に戻すとすぐに立ち上がり、生育状況はよいと思います」と話していました。

まんのう町教育委員会の加納裕之係長は、「無事に足輪の取り付け作業が終わってほっとしています。自然が豊かな町で地域の方々にも見守ってもらっているので、すこやかに育って無事に巣立ちの日を迎えてほしいです」と話していました。

【なぜコウノトリに足輪?】

こちらは、今回取り付けられた足輪です。

「J0671」と記されていて、いつどこで生まれたコウノトリかがわかるようになっています。

兵庫県立コウノトリの郷公園では、現在、国内で生息しているおよそ300羽のほとんどに足輪を取り付けています。

そもそも、なぜ足輪を取り付ける必要があるのでしょうか。

コウノトリの郷公園によりますとひなが巣立ったあとの行動範囲や縄張り、寿命など基本的な生態を調べるのに、役立てるためだということです。

また、国内に生息するコウノトリの血縁関係を把握して、近親交配を避けるよう、人工繁殖した個体を放す場所を決めるのにも使われるということです。

コウノトリの郷公園では、コウノトリを見かけて足輪の番号が確認できた場合には、写真を撮って送ってほしいと呼びかけています。