JR四国 20日から全路線を対象に運賃値上げ 27年ぶり

JR四国は、20日から普通運賃を平均で12.5%余り値上げします。運賃の値上げは消費税率の引き上げに伴うものを除けば、平成8年以来27年ぶりです。

厳しい経営が続くJR四国は、人口減少などで今後も利用者の大幅な回復は見込めずこのままでは事業継続が困難だとして、20日からすべての路線を対象に運賃の値上げを行います。

平均の値上げ幅は、普通運賃が12.51%、通学定期が22.43%、通勤定期が28.14%です。

初乗り運賃は170円から190円へと20円上がるほか、初乗り以外では距離に応じて運賃が値上げされ、区間によっては最大で510円の値上げになります。

また、特急料金も最大で230円値上げしますが、高速バスなどとの競争を考慮して50キロを超える区間では料金を据え置きます。

JR四国が運賃を値上げするのは消費税率の引き上げに伴うものを除けば平成8年以来27年ぶりです。

JR四国は「ご負担をお掛けするのは大変心苦しいですが、四国の基幹的公共輸送機関の使命を果たすため、ご理解いただきますようお願いします」とコメントしています。

【値上げされる運賃の具体例】
《高松駅と県内の主要駅間の普通運賃》
予讃線の丸亀駅までは630円(↑70円)
観音寺駅までは1240円(↑130円)
土讃線の善通寺駅までは850円(↑80円)
高徳線の引田駅までは1080円(↑110円)
《高松駅と県外の主要駅間の普通運賃》
岡山駅までは1660円(↑110円)
徳島駅までは1640円(↑170円)
松山駅までは3960円(↑400円)
高知駅までも3190円(↑400円)

特急を使う場合は特急料金が上乗せされますが、これらの区間で特急料金に変更はありません。

【値上げの背景は】
JR四国が今回27年ぶりの値上げに踏み切る背景には、厳しい経営状況が続いていることがあります。

JR四国の昨年度1年間のグループ全体の決算は、本業のもうけを示す営業損益が171億円の赤字でした。

新型コロナの影響で利用が伸び悩み、回復傾向となっているものの過去3番目に大きい赤字額です。

JRでは今回の運賃値上げで、およそ14億円の増収を見込んでいますが、それを踏まえても今年度の営業損益の予想は158億円の赤字と、コロナ前の水準までは回復しないと見込んでいます。
JR四国は、経営の改善に向けて値上げだけでなくコスト削減を行うほか、マンション販売や高松駅の新たな駅ビル開業などいわゆる「非鉄道事業」で収益拡大を目指すとしていますが、利用が少ないローカル線のあり方をめぐる議論も避けて通れません。

関係者によりますと、関係する自治体との間で水面下で調整が進められているということで、今後の展開が焦点になります。