熱海土石流2年10か月 母親亡くした男性が自宅跡地で黙とう

熱海市で大規模な土石流が発生してから2年10か月となるきょう、母親を亡くした男性が自宅の跡地を訪れて黙とうをささげました。

2021年7月3日に、熱海市伊豆山地区で発生した大規模な土石流では、災害関連死を含めて28人が犠牲になりました。
草※柳孝幸さん(52)は、この地区で一緒に暮らしていた母親の笑子さん(当時82)を土石流で亡くしました。
発生から2年10か月となるきょう、今借りている市内のアパートから自宅の跡地を訪れて黙とうをささげました。
草柳さんは、今の心境について、「亡くなる前はこれっぽっちも思わなかったけど、親孝行をすればよかったとひしひしと感じています」と話しました。
建設業の草柳さんは、笑子さんを見つけ出したいと、発生の3日後から土砂を運び出す作業に加わり、笑子さんが見つかったいまも、復旧のための河川や道路の工事に携わっています。
しかし、工事は一部しか着手しておらず、用地買収が難航していることなどを理由に、県と市が整備の完了時期を2年延長する計画案を示したことに、もどかしさを感じているといいます。
草柳さんは「1日も早くきれいな街に戻ってほしいと思って工事に携わっていますが、毎日のように来ても何も景色が変わらず、あきれた気持ちです。地区のことが何も解決しないまま知事も辞職してしまい、行政が力を入れてやってくれていないと感じています」と話していました。
※「ヤナギ」は柳の木へんの横が夕の字。