袴田さん釈放認めた元裁判官 再審の法律改正が必要と訴え

10年前に静岡地方裁判所の裁判長として袴田巌さんの釈放を認める決定を出した元裁判官が、20日袴田さんの支援集会に参加し、えん罪被害者を速やかに救済するために、再審に関する法律の改正が必要だと訴えました。

58年前の1966年に今の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)は、10年前に出された再審開始決定が検察の不服申し立てを受けて取り消されたため、裁判のやり直しを求めてから去年、再審開始が確定するまでに40年以上かかりました。
20は、浜松市内で袴田さんの支援集会が開かれ、10年前に静岡地裁の裁判長として再審と釈放を認める決定を出した元裁判官の村山浩昭さんが参加しました。
集会では、袴田さんの姉のひで子さん(91)が釈放された当時を振り返り、「うれしくて、大急ぎで巌の手を握って喜びました。あと半年、釈放が遅れていたら拘置所で亡くなっていたと思っています。村山さんは命の恩人です」と述べると、村山さんは感極まった様子で涙をぬぐっていました。
続いて村山さんが講演し、袴田さんの審理が長期化した原因として、現在の再審制度では「証拠の開示」に関する具体的な規定がなく、検察による不服の申し立てが禁止されていないことなどを挙げました。
その上で、「裁判は人間が裁くシステムなので、エラーがありえる。再審はえん罪救済の最後のとりでだと思うので、きちんと法律を整備して、えん罪に苦しんでいる人がより早く救済される道をつくらなければいけない」と述べ、再審に関する法律の改正が必要だと訴えました。