通園バス置き去り死亡事件 牧之原市の第三者委が報告書提出

おととし9月、静岡県牧之原市の認定こども園で当時3歳の女の子が通園バスの車内に置き去りにされ重度の熱中症で死亡した事件で、原因の検証を進めてきた市の第三者委員会は29日、報告書を市に提出しました。
報告書では元園長について、「安全管理に関する意識が薄く知識も不十分だった」と指摘し、再発防止を求めました。

おととし9月、牧之原市にある認定こども園「川崎幼稚園」の駐車場に止められた通園バスの車内に、園に通っていた河本千奈ちゃん(当時3歳)が約5時間にわたって置き去りにされ、重度の熱中症で亡くなりました。
この事件を受けて牧之原市が設置した大学教授や医師などでつくる第三者委員会は、去年2月から原因の検証を進めてきましたが、とりまとめた報告書を29日、杉本基久雄市長に提出しました。
報告書では、事件の1年前に福岡で同様の事件が起きたあと、国が登園時の人数確認を徹底するよう通知したものの、職員への周知が行われなかった理由について、「元園長自身が連絡内容の重要性や緊急性を適切に認識していなかった。リーダーシップや安全管理に関する意識が薄く、知識も不十分だった」と分析しました。
また、事件当日にいつもの運転手の都合がつかず、元園長がバスを運転したことについて、「通園バスを運行する際の注意点や確認手順などは承知しておらず、それらがあることすら気にかけずに運転していた。子どもの命を預かる業務であるという意識が薄かった」と指摘しました。
その上で、再発防止に向けて、「組織の育成や体制の見直しができない一因として、同族経営による風通しの悪さが考えられる。外部の専門家の定期的な参画を検討するなど、教育や保育に関する専門知識や経営に関する新たな視点を取り入れることが必要だ」と提言しました。
報告書を受け取った杉本市長は、「報告書の内容を真摯に受け止め、指摘された改善点や対策を着実に実行し、再発防止に全力を尽くしてまいります」と話していました。