袴田巌さん きょう88歳に 姉ひで子さんら祝福

58年前に静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定し、再審=やり直しの裁判が行われている袴田巌さんが10日、88歳の誕生日を迎え、姉のひで子さんや支援者から祝福を受けました。

袴田巌さんは10日、88歳の誕生日を迎え、姉のひで子さん(91)と暮らす浜松市内の自宅では、支援者が集まってお祝いの食事会が開かれ、全員で乾杯して誕生日を祝いました。
このあと支援者から、花束やケーキのほか、袴田さんの好きな緑色のシャツがプレゼントされ、袴田さんは「いいですね」などと応じていました。
袴田さんは、報道陣から日頃の健康づくりについて問われたのに対し、「動いていることは動いているんだね。毎日、自動車に乗ってそこら中を走り回っている」などと、日課のドライブに言及した一方、自身の年齢については「年はとらないんだね」などと述べました。
袴田さんは、長期間にわたり死刑執行への恐怖のもと収容されていた影響で、釈放されてからまもなく10年となる今も、意思の疎通が難しい状態が続いています。
これについて、ひで子さんは「10年前はまったく物を言わず自分の世界に閉じこもっていたので、こうして質問にお答えできるということは、それだけ進歩したと思います。100歳までとは言わないが、元気で長生きしてほしい」と述べました。
去年10月から始まった袴田さんの再審は、ことし5月22日に、検察の論告と求刑、弁護団による最終弁論が行われてすべての審理が終わる見通しとなっています。
今後の審理に向けて、ひで子さんは「再審開始まで57年間、闘ってきたことの価値を示してほしいので、いい結果を期待している。無罪を勝ち取ったら肩の荷が下りると思う」と話していました。