リニア 環境保全の最終報告書 静岡市長“表現が適切でない”

静岡市の難波市長は、リニア中央新幹線の工事を巡り国の有識者会議がまとめた環境保全の最終報告書の中で、「南アルプスの標高の高い場所では地下水位の変化の影響は及ばない」としていることについて、「表現が適切でない」とする見解を示しました。

国の有識者会議は去年12月、JR東海が取るべき環境保全の対策を盛り込んだ最終報告書をまとめ、この中で、静岡市北部の南アルプスへの影響について、「標高の高い場所の植物には地下深部の水位変化の影響は及ばないと考えられる」としています。
これについて静岡市の難波市長は「標高の高い場所でも地下の水位が変化した場合、湧き出す水の量が変化し、植生に影響が出る可能性があり、報告書の表現は適切でない」という見解を示しました。
その上で、トンネル工事で沢の水が湧き出す場所の、標高の低下や水量の減少による生態系への影響の評価が必要だと指摘しました。
また、環境への影響を調べるモニタリングについて、国土交通省が工事の前と後のデータを比較して工事前に作成した保全措置の実施計画で対策を講じるべきとしている点に触れ、「事前の想定より厳しい状況が発生すれば計画の見直しも必要だが、国土交通省は見直しについて示していない」としてJR東海と静岡市の間で今後検討する必要があるという考えを示しました。
難波市長は、こうした点を市の有識者会議で協議し、市の最終的な見解をまとめたいとしています。