袴田さん再審 7回目審理 弁護団「犯人に仕立てられた」

58年前、静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さんの再審=やり直しの裁判で17日、7回目の審理が行われ、弁護団は、取り調べの録音テープの音声を法廷で再生し、「袴田さんは長時間の執ような取り調べで自白に落ち、犯人に仕立てられた」と主張しました。

58年前の1966年に今の静岡市清水区でみそ製造会社の一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審は、16日から2日連続で審理が行われました。
午前11時から始まった7回目の審理で弁護団は、袴田さんが逮捕されたあとに行われた取り調べの録音テープを分析した結果、「否認していた袴田さんに対し、一方的に犯人と決めつけて執ように謝罪と反省を迫る取り調べが長時間行われた。袴田さんは身体的・精神的に限界の状態で自白に落ち、事件とは関係ないのに犯人に仕立てられた」と主張しました。
その上で弁護団は、法廷でテープの音声を流しました。
再生された音声には、袴田さんが用を足したいと申し出たのに対して、警察官がトイレに行かせずに「イエスかノーか話してみなさい」などと迫り、取調室の中で用を足させる様子などが記録されていました。
続いて、事件の発生から1年2か月後に現場近くのみそタンクから見つかり、検察が「袴田さんが犯行時に着用した」と主張している、血の付いた「5点の衣類」について弁護団が主張を展開し、「血痕を付けた衣類を長期間みそに漬ける実験を何度も行ったが、いずれも血痕の赤みは失われた。証拠の衣類はねつ造されたもので、袴田さんは無罪だ」と述べました。
次回の審理は2月14日に行われます。

【ひで子さん “こんなひどい目に”】
審理のあと、袴田さんの姉のひで子さん(90)や弁護団が会見を開きました。

この中でひで子さんは「きょうも弁護士の皆さんの弁論が素晴らしく、胸を張って主張を聞いていました」と審理を振り返りました。
また、袴田さんが逮捕されたあとに行われた取り調べの録音テープの音声が法廷で流されたことについて、ひで子さんは「刑事の取り調べのやり方をまざまざと感じ、こんなひどい目に遭っていたのかと改めて感じました」と述べました。

弁護団の白山聖浩弁護士は、録音テープの音声について「逮捕された日はまだ元気できちんと反論できていたが、徐々に力を失っていく様子がはっきりわかった。取り調べが行われた時間はあわせて430時間に及ぶが、自分が同じように取り調べを受け続けたらと思うと、胸が苦しくなった」と述べました。
その上で「袴田さんがみずからストーリーを話しているわけではなく、警察官がストーリーを作っていく様子からも、録音テープは、袴田さんが犯人ではないことを示す証拠になっていると思う」と話していました。

【青木惠子さん “無罪間違いない”】
きょうの審理には、1995年に大阪・東住吉区の住宅で女の子が死亡した火事の再審で無罪が確定した青木惠子さんも駆けつけました。

青木さんは現在、えん罪被害者を支援する団体「冤罪犠牲者の会」の共同代表を務めていて、袴田さんの再審を傍聴しようと静岡地方裁判所を訪れましたが、抽せんに外れ、傍聴はかなわなかったということです。
青木さんは県弁護士会館で記者会見を開き、「ひで子さんには『初公判に行けなくてごめんね、やっときたよ』と伝えました。再審で誰かが勝つことは希望をもらえるということを自分が体験しているので、少しでも励ましたいと思って来ました」と述べました。
その上で、「袴田さんは無実なので、無罪判決が出るのは間違いないと思います」と話していました。