袴田巌さんの再審 検察「袴田さんには動機があった」

57年前、静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さんの再審=やり直しの裁判で、20日、5回目の審理が行われ、検察は「袴田さんには金品を手に入れようとする動機があった」などと主張しました。

57年前の1966年に今の静岡市清水区でみそ製造会社の一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審は、20日午前11時から5回目の審理が始まりました。
この中で検察は、「袴田さんは被害者である会社の専務が売上金を自宅に持ち帰っていたことを知っていた。金銭に余裕のある生活をしていたわけではなく、金品を手に入れようとする動機があった」と主張しました。
また、検察が事件の凶器だと主張している「くり小刀」と同種のものを販売していた沼津市内の刃物店の店員が、警察が示した28枚の顔写真の中から見覚えがある人として袴田さんの写真を選んだとして、「袴田さんがくり小刀を購入し、所持していたと考えられる」と主張しました。
午後からは弁護団の反論や立証が予定されています。
【姉のひで子さん「裁判が終わるまで頑張る」】
袴田巌さん(87)と一緒に暮らしている姉のひで子さん(90)は午前8時45分ごろに浜松市内の自宅を出て支援者の車に乗り込み、静岡地方裁判所に向けて出発しました。
ひで子さんは自宅を出る際、寝ていた袴田さんに「きょうも静岡に行ってくるよ」と声をかけたということです。
年内最後となる20日の審理についてひで子さんは、「特にどうこうということはなくいつもと一緒です。来年もすぐ審理が始まるから、裁判が終わるまで頑張っていこうと思う」と話していました。