熱海土石流をめぐる裁判 来年7月公開の法廷で審理へ

おととし熱海市で発生した土石流をめぐり犠牲者の遺族や被災者などが起こした裁判の非公開の協議が行われ、原告側はこれまでに開示された公文書などを踏まえて、「大規模崩落の危険性が高いことを予見することができた」と主張しました。
来年7月には公開の法廷で審理が行われることになりました。

おととし7月に熱海市で起きた土石流の犠牲者の遺族や被災者は、盛り土が造成された当時の土地の所有者や今の所有者ら、それに県と熱海市に対して、それぞれ賠償を求める訴えを起こしています。
13日に静岡地方裁判所沼津支部で原告と被告の代理人の弁護士などが出席して非公開の協議が行われ、原告側がこれまでに開示された公文書などを踏まえて、県と熱海市、それに今の土地所有者側の責任について整理した主張を行いました。
それによりますと、土石流が発生する前の県と熱海市の協議や現地調査の記録などから、土石流の起点にあった盛り土から複数回にわたって土砂が流出していた状況は明らかで、県と熱海市は「大規模崩落の危険性が高いことを予見することができた」と指摘しています。
その上で、県と熱海市について「盛り土の撤去などを命じる措置命令を出していれば土石流は発生せず、原告に損害が発生することもなかった」と主張しています。
県や市、それに今の所有者は次回、来年5月の非公開の協議までに反論する主張を行うとしています。
その上で、来年7月10日には、公開の法廷で審理を行うことが決まったということです。
原告の代理人を務める加藤博太郎弁護士は「社会的影響が大きい事件なので今後の行政の対応を見直していただくためにも、公開が決まったことは非常に大きな意義がある」と話していました。