鈴木げんさん”手術なしで性別変更”戸籍謄本受け取る 浜松市

法律で必要とされている生殖能力をなくす手術を受けていなくても、戸籍上の性別を変更することが静岡家庭裁判所浜松支部の決定で認められたトランスジェンダーの鈴木げんさんが、7日、浜松市役所で性別の表記が変更された戸籍謄本を受け取りました。
鈴木さんは「多くの人にとって当たり前だったことが、僕にとってやっと当たり前になった」と喜びを語りました。

静岡県浜松市に住み、戸籍上の性別は女性で、男性として社会生活を送るトランスジェンダーの鈴木げんさん(49)が行った申し立てについて、静岡家庭裁判所浜松支部はことし10月、戸籍上の性別を変更するには生殖腺を取り除く必要があるとする法律の規定は憲法に違反して無効だとする判断を示し、手術を受けていなくても戸籍上の性別を男性に変更することを認めました。
この決定を受けて、浜松市が進めてきた戸籍上の性別を変更する手続きが完了し、鈴木さんは7日、パートナーの國井良子さんとともに市役所の窓口を訪れ、戸籍謄本や住民票の交付を申請しました。
職員から手渡された書類の性別の表記は「女」から「男」に変更されていて、鈴木さんは國井さんとともに「大きな一歩だね」などと話し、喜びをかみしめていました。
鈴木さんは「多くの人にとって当たり前だったことが、僕にとってやっと当たり前になったという証明をいただき、うれしく思います。すべての人にとってその人が生活している性別や性自認どおりの性別が尊重される社会になっていったらいいなと思います」と話していました。
パートナーの國井さんは「いつも書類はすぐにしまっていたので、じっくり見てニコニコしている姿を見るのは初めてです。『男』という表記はとてもしっくりしています」と話していました。
鈴木さんの性別変更によって、2人は法律上の結婚も可能になり、「多くの人が当たり前に持っている権利を持つことができた」と喜んでいました。
ただ、婚姻の手続きについては、今の法律で結婚が認められていない同性カップルの人たちなどの状況が進展するのを待ちたいということです。