「行政区再編」まで2か月 浜松市でさまざまな動き

来年1月の浜松市の行政区再編に伴い、新たに天竜区に常駐することになった副市長に市の健康福祉部長などを務めた朝月雅則氏が就任し、中野市長から辞令が交付されました。

浜松市は行政運営の効率化を目指して来年1月、今ある7つの行政区を中央区、浜名区、それに天竜区の3つに再編します。
このうち、天竜区役所には中山間地域の課題解決や振興に向けて3人の副市長のうち1人が常駐することになり、1日、前の水道事業・下水道事業管理者の朝月雅則氏に、中野市長から辞令が交付されました。
朝月氏は64歳。
東区の区長や健康福祉部長などを歴任し、2020年3月に定年退職しました。
再任用で新たに設けられたデジタル・スマートシティ推進事業本部長を務め、おととし4月から水道事業・下水道事業管理者を務めていました。
辞令交付のあとに行われた就任式で、朝月氏は「市民に寄り添い、わかりやすい説明、丁寧な応対を念頭に置いて精一杯副市長を務めたい」と意気込みを述べました。

《新副市長“中山間地域振興に努めたい”》
新たに副市長に就任した朝月雅則氏は1日午後、記者会見を開き、「中山間地域の振興に努めたい」と意気込みを語りました。
朝月氏は天竜区をはじめとする中山間地域について「過疎化や少子高齢化、それに集中豪雨などの災害に対する素早い対応などさまざまな課題が山積している」として、「フットワークよく色々な地域に出かけて市民生活の中にある不安や課題などに積極的に耳を傾け、市の職員と連携しながら前向きに取り組んでいきたい」と意気込みを語りました。

《住民自治の強化も大きな柱》
行政区再編で、区の数が減るなかで、地域の課題や要望を速やかに行政に届けるための住民自治の強化も大きな柱となっています。
市は、10月下旬、自治会の代表者と会合を開き、今後の住民自治のあり方について説明しました。
それによりますと現在は、地域の意見の集約や市の議案に意見を述べる役割を7つの区ごとに設けられた「区協議会」が担っていますが、再編にあわせて3つにまとめられます。
担当する範囲が広がり、住民の声が届きにくくなるおそれがあることから、そのまま残る天竜区を除いて現在の6つの区ごとに新たに「地域分科会」を設けるということです。
さらに市内50地区にある自治会連合会単位で、「地区コミュニティ協議会」を設けられるようになり、こうした小規模な組織から意見をあげてもらうことで、自治の強化につなげる狙いがあるということです。
浜松市自治会連合会の廣野篤男会長は「あまり大きく変わることはないが、安心して暮らせるまちづくりをしなければいけないので、各区の代表と話をしながら細かい協議の方法などを決めていきたい」と話していました。

《印刷会社も対応に追われる》
浜松市の行政区再編が2か月後に迫る中、市内の印刷会社では新しい区名が入った名刺や封筒の印刷の依頼が相次ぎ対応に追われています。
このうち浜北区の印刷会社では、担当者がパソコンに登録されている過去の名刺の住所を新しい区名にひとつひとつ修正し印刷する作業に追われていました。
会社によりますと名刺の依頼は再編が近づくにつれて増え、いまは例年の同じ時期の4倍ほどになっているということです。
一方、企業の封筒については、営業が顧客を回って12月末までに使う見込みなどを相談しながら、現在の区名が印刷されたものと新しい区名のもの、それぞれ計画的に発注するよう呼びかけてきたということです。
杉森印刷の松嶋一人営業部長は「ことしは名刺や伝票、封筒など住所変更に伴う依頼が多いです。特に名刺は、例年は年度替わり前の3月が多くなりますが、いまはそれを上回る特別な状況です。限られた人数ですがうまく工場を回して対応していこうと思います」と話していました。