再来年大河「べらぼう」渡辺謙さん「新・田沼意次像を」

再来年大河「べらぼう」渡辺謙さん「新・田沼意次像を」

(たっぷり静岡オープニング)
「こんばんは。渡辺謙です。2025年の大河ドラマ『べらぼう』で静岡にゆかりの深い、江戸時代の老中・田沼意次を演じることになりました。おそらく、これまでいろんな方がイメージされていた田沼意次とは違う、意次の人生を描いていけたらと思っています。それでは、作品にかける思いをたっぷりとお聞きいただきたいと思います。それでは『たっぷり静岡』スタートです!」

先週、再来年放送の大河ドラマ「べらぼう 〜蔦重栄華乃夢噺〜」のキャストが発表され、今の牧之原市の相良藩主、田沼意次役を渡辺謙さんが演じることになりました。横浜流星さん演じる主人公・蔦屋十三郎に大きな影響を与える老中をどう演じていくのか、渡辺さんに伺いました。
(聞き手/静岡局記者・仲田萌重子)

今月5日に、都内で行われた2025年の大河ドラマ「べらぼう」の会見。いまの牧之原市にあった相良藩の藩主だった田沼意次役を渡辺謙さんが演じることが発表されました。
(渡辺さん・10月5日会見)
「『おぬしも悪よのう』っていう感じのイメージを払拭して、全く違う人物像をお届けできれば」

時代は江戸中期の1700年代。老中まで上り詰めた意次は、幕府の財政改革に積極的に取り組みましたが、その時期には賄賂が横行したと言われ、「賄賂政治家」と評されてきました。そんな意次を、渡辺さんは今回、新たな視点で表現したいと意気込んでいます。
その思いを、NHK静岡の単独インタビューで語ってもらいました。

(記者)
「まず静岡には、どういうイメージをお持ちですか」
(渡辺さん)
「いやー、長い。横に長い。東海道新幹線でも“ずっとまだ静岡だ”みたいな。あとは、時代ものが好きで、本を読んだりドラマも見たりしているので、今回は(どうする家康で)徳川家康が遠江を治めてますけど、非常にいろんな歴史が詰まった県だと思います」

静岡では相良の地を発展させた意次。悪評の一方で、近年では貨幣の統一や外国の貿易の拡大などその経済手腕が再評価されています。
(渡辺さん)
「歴史ってどんどん塗り替えられていくので、彼がやった功績よりも、彼がやった悪いことを後の人たちがどんどん塗り替えていったところがある。彼は“いかに貨幣経済に早く国を移すべきか”、要は“経済主義的な国にするべきだ”という発想を持っていた」

意次が作り上げた商人時代は、横浜流星さん演じる江戸のメディア王となる主人公・蔦屋十三郎の才能も開花させます。しかし経済重視への転換は、ほかの政治家や格差に苦しむ農民たちには違う形で伝わっていきました。

(渡辺さん)
「逆に意次自身はメディアの風評被害に貶められた立場。もちろん蔦重(蔦屋十三郎)をバックアップする意味では、メディアの中に脚を突っ込むんですけど、逆に論評される立場ですよね。政府・幕府の中枢にいると。今でも政治家の方が、メディアの風にさらされるみたいなことが、その時代もあったんじゃないかなと思う」

意次が築城した相良城は、意次の失脚後に壊されましたが、跡地には現在、牧之原市役所や史料館などがあり、市民になじみの場所となっています。周辺は城下町として栄え、牧之原市から藤枝市までのおよそ28キロにわたる「田沼街道」を整備しました。

そんな功績がある一方で、定着してしまったダーティーなイメージ。地元からは、イメージを払拭したいと2019年の生誕300年をきっかけに、大河ドラマでの起用を求める声が上がっていました。そして今回、念願の大河ドラマ、そして渡辺謙さんの出演が決まったのです。

(大河ドラマ誘致の署名活動を進めてきた地元協議会の今野朝子会長)
「渡辺謙さんが演じると、牧之原市の方から電話頂いた時に身震いがして。世界で有名な渡辺謙さんですよね。万歳って叫びたいぐらいだった。すごいすごい、やったねっていう感じで喜びました。汚名返上で日本経済の立て役者ってことを全国の人に知ってほしいです」

地元静岡で高まる、意次への期待に渡辺さんは。
(渡辺さん)
「田沼意次という人物を通して、静岡の方々が誇りに思ってもらえるような人物像をできたらなと思っています。もちろん作品に入る前に、現地も伺ってみたいなと思っています」