リニア報告書案 静岡市長「工事前の影響回避措置が不十分」

静岡市の難波市長は、リニア中央新幹線の工事を巡り市北部にある南アルプスの生態系への影響を議論する国の有識者会議が示した最終報告書案について、「工事開始前に影響を回避するための措置が十分書かれていない」と指摘し今後、市の有識者会議を開いて環境保全への市の見解をまとめ国に伝える意向を明らかにしました。

9月26日に開かれたリニア新幹線の工事の県内の環境保全を議論する国の有識者会議では、「工事開始後もモニタリングなどをしながら必要な措置や見直しをして影響を最小化すべきだ」などととする最終報告書の案が提示されました。
これについて、静岡市の難波市長は27日会見を開き、「アルプスの生物多様性への影響は、大井川の水資源の影響より対応の困難性が高い」と述べ、水資源は掘削で流れ出た水を大井川に戻すことで問題が解決するものの、生物は、掘削で地下の水位が下がると沢の水が枯れるなど、場所ごとに高山植物や水生生物などの生態系に大きな影響が出る懸念があるという認識を示しました。
その上で、「工事開始前に影響を回避するための措置も十分書かれていない」と指摘しました。
この点を踏まえ、静岡市は、10月中旬、市の有識者会議を開き、今回の最終報告書案や環境保全に関する市の見解をまとめ、国に伝えることにしています。