熱海土石流裁判 非公開協議 県 公文書の多く黒塗り外し提出

おととし熱海市で発生した土石流をめぐり犠牲者の遺族や被災者などが起こした裁判で非公開の協議が行われ、県は、起点にあった盛り土の周辺で過去に進められた宅地造成に関する公文書の多くを原告からの求めに応じて黒塗りのない状態で裁判所に提出しました。

おととし7月に熱海市で起きた土石流の犠牲者の遺族や被災者は、盛り土が造成された当時の土地の所有者や今の所有者ら、それに県と熱海市に対して、それぞれ賠償を求める訴えを起こしています。
20日に静岡地方裁判所沼津支部で原告の一部や代理人の弁護士が出席して非公開の協議が行われました。
県はこれまでに、土石流の起点にあった盛り土の造成に関わる公文書の多くを、黒塗りを外して裁判所に提出していましたが、原告側は、この周辺で過去に進められた宅地造成に関する公文書も開示するよう求めていました。
出席者によりますと、県は20日の協議で、2002年以降に作成された宅地造成に関する約1470枚の公文書の大半を、黒塗りのない状態で裁判所に提出したということです。
県経営管理部の天野朗彦参事は、「守秘義務やプライバシーに関わるものを除いてすべて開示した。県は隠ぺいする意図も事実もないので、しっかりと対応していきたい」と話していました。
一方、原告の代理人を務める加藤博太郎弁護士は「審理に不可欠な証拠の収集が進んできた。土石流は防ぐことができた『人災』だということを立証していきたい」と話していました。