モロッコ地震 現地を心配し支援求める声

今月8日に北アフリカのモロッコで起きた地震では、甚大な被害が出て救援活動が続いています。
静岡市で暮らすモロッコの出身者からは現地の状況を心配し支援を求める声が聞かれました。

モロッコ中部の山岳地帯で現地時間の8日に発生した地震ではこれまでに2900人以上が死亡しました。
震源地に近いモロッコ中部マラケシュでは、旧市街の複数の建物に被害が出ています。
マラケシュ出身の花沢ウライヤさん(38)は、6年前に日本人の男性と結婚し静岡市で暮らしていますが、母親や姉など家族3人はマラケシュで生活しています。
家族にけがはありませんでしたが、山岳地帯の村で1人暮らしをしている祖母の自宅が大きな被害を受け、避難を余儀なくされているということです。
家族から送られた動画には土や石でできている古い造りの住宅は天井が大きく崩れて散乱し、壁には大きな亀裂が入っています。
ウライヤさんによりますと、祖母が住む村では多くの人が今も屋外で寝泊まりをしていて、村につながる道路は土砂崩れの影響などで車で通れなくなっているということです。
ウライヤさんは、居ても立ってもいられず現地の報道やSNSの投稿を繰り返し確認しています。
ウライヤさんは、「モロッコに地震が起きるといままで思ったことはなく、小さい頃から知っている思い出の場所が被害を受けてとても悲しいです。早くモロッコに帰って家族に会いたいです。日本の人にも支援金などで協力してもらえたら嬉しいです」と涙ながらに話していました。
ウライヤさんは9月下旬にもモロッコに戻って祖母の状況を確認することにしています。

【日本茶の工場 地震の影響で一時稼働停止】
モロッコに工場がある、日本茶の製造・販売を手がける静岡市の企業は、地震の影響で工場が一時稼働を停止し、現地の被害状況を見守っています。
静岡市駿河区に本社がある日本茶の製造・販売を手がける企業は、ヨーロッパや中東で販路を拡大するため、モロッコに合弁会社を立ち上げ、マラケシュで緑茶や抹茶を製造する製茶工場を運営しています。
会社によりますと、工場の壁にヒビが入ったものの大きな被害はなく、5人の従業員にもけがはなかったということです。
しかし、工場は安全確認などのため、3日間ほど稼働を停止したということです。
現地からは従業員の家の近くにある旧市街を撮影した動画が届き、動画からは建物の壁や天井が崩落し、吹きさらしの状態になっている様子が確認できます。
今のところ取引先や製品の輸送にも大きな混乱はないと現地から報告を受けていますが、被害の全容はつかめず、状況を見守るとともに地域からの支援の要請があれば対応を検討したいしています。
「丸善製茶」の古橋克俊社長は、「従業員と工場が無事だと聞いて安心しました。会社は限定的な被害でしたが、被害の全容を把握してから工場の地震対策などを判断したい」と話していました。