リニアのトンネル工事で国の有識者会議 議論まとめの方向性

リニア中央新幹線のトンネル工事を巡り、県内の環境保全を議論する国の有識者会議が開かれ、今後の会議では沢の流量や高山植物への影響などこれまで議論してきた論点ごとにモニタリングや対策を提示し議論をとりまとめていくとする方向性が示されました。

リニア中央新幹線は、JR東海が2027年の開業を目指していますが、静岡県は、南アルプスの生態系などに影響があるなどとして県内での着工を認めていません。
これについて国土交通省による有識者の12回目の会合が30日東京で開かれました。
会合での議論は、トンネル工事による影響についての分析から一段階上がり、モニタリングや対策を検討するステージに入っていて、30日は事務局の国土交通省が今後、議論をとりまとめていく方向性を示しました。
それによりますと、沢の流量や高山植物、残土置き場の影響などこれまで会合で議論してきた論点ごとに、モニタリングの計画や環境を保全するための対策などをまとめていくとしています。
一方、会議に参加した静岡県の森貴志副知事は、「沢の流量の減少だけでなくそれぞれの生物に与える予測も議論を今後、進めてほしい」と述べ、引き続き、詳細な影響の分析を進めていくことを求めました。
これに対し、有識者会議の座長である中村太士北海道大学教授は「沢の流量の予測も不確実性が伴い、すべての影響を明らかにするのは難しい」と述べました。