静岡市駿河区で突風被害相次ぐ ”竜巻によるものか”調査

台風の影響で、県内は大気の状態が不安定になっていて、静岡市駿河区では突風による被害が相次ぎました。
気象台は竜巻の発生が確認されたとしたうえで、被害が広範囲に及んでいることから、すべてが竜巻によるものなのか調査を進めています。

静岡市駿河区で午前11時前に撮影された映像です。
正面の安倍川で、水上をうずをまいて風が吹いているのがわかります。
撮影した人によりますと、特に風の音は聞こえず、30秒程度竜巻とみられる現象が続いたということです。

静岡市で撮影された映像について、気象庁は「ろうと型」の雲が川の水面まで伸び、水面付近ではしぶきも上がっていることから今回の突風について「竜巻」と確認されたとしています。
気象庁のレーダー画面では、静岡市には午前10時半すぎから、南から発達した雨雲が次々と流れ込んでいるようすが確認できます。
静岡市井川では午前11時10分までの10分間に12.5ミリの雨量を観測しています。

台風7号の影響で、静岡県では大気の状態が不安定になり、静岡市駿河区の広い範囲で竜巻とみられる突風が発生しました。
静岡市によりますと、車が横転し50代の男性が軽いけがをしたほか、住宅の屋根瓦が剥がれるなどの被害がありました。
静岡市によりますと、15日午前11時すぎ、静岡市駿河区で竜巻とみられる突風が発生し、複数の場所で人や建物への被害が確認されました。
このうち、駿河区西脇のレンタルDVDなどを扱う店舗の駐車場では、突風で車が横転し、乗っていた50代の男性が軽いけがをして病院に搬送されました。

静岡市駿河区西脇にある金属加工会社の工場では、突風で窓ガラスが割れるなどの被害が出ました。
会社の関係者によりますと、午前11時半ごろ、警備会社から窓ガラスが割れていると連絡があり、従業員が確認したところ、工場の事務所の窓ガラスが粉々に割れていたということです。
工場は、15日は休みで、事務所に人はおらず、けが人はいませんでした。
屋根の一部も飛んだとみられ、従業員が飛び散ったガラスを集めるなど片づけに追われていました。
50代の従業員は「連絡を受けて来たら、窓ガラスが散乱していた。初めてのことでここまでの被害とは思わなかった。工場の機械が壊れていないかこれから確認します」と話していました。

静岡市駿河区西島の事業所では、「建物の屋根が飛んだ」と従業員から消防に通報がありました。
NHKが入手したドライブレコーダーの映像では、突然、建物の屋根が舞い上がるように吹き飛ばされる様子が確認できます。
近くに住む50代の女性は「クリーム色のトタン屋根が、下からあおられるように飛んできているのが見えた。電線にからまったときに火花も出ていたのでとても怖かったです」と話していました。
周辺の建物が停電したほか、信号機が作動しなくなり警察官が手信号で交通整理をしていました。

静岡市駿河区中田本町のゴルフ練習場では、突風の影響で、ネットが破れる被害が出ました。
ネットは天井にあたる部分から裂けるように破れ、支柱がむき出しになっていました。
練習場の経営者の男性は「きょうは臨時休業することになりました。お客さんが来る予定だったので、台風には備えていましたが、突風には対応しきれないです」と話していました。

静岡市駿河区で突風の被害が相次いだことを受けて、静岡地方気象台は、現地に職員を派遣し、調査を行いました。
SNSでは、15日午前11時ごろに、駿河区で撮影した竜巻とされる映像の投稿が相次ぎ、気象庁は「竜巻」と確認されたとしています。
今回の調査は、竜巻と区内で相次いだ突風被害との関係を調べるため、気象台の職員4人が、県の職員とともに、西脇地区と西島地区の2か所で行いました。
職員は、瓦が飛んだ住宅を撮影したり、被害を受けた事業所の関係者から当時の様子を聞き取ったりして、被害の状況を確認していました。
静岡地方気象台の上清直隆次長は「どういった現象が起きたかはまだわからないが、撮影された竜巻以外の、ダウンバーストなどの現象が起きた可能性がある。被害をおこした現象が、映像の竜巻と関係あるのかないのか、今後検討していきたい」と話していました。
気象台は、近く結果をまとめ公表することにしています。