リニアトンネル工事有識者会議 JR東海流量減少抑止効果示す
リニア中央新幹線のトンネル工事を巡り、県内の環境保全を議論する国の有識者会議が、23日開かれ、JR東海が、上流部の沢では工事で流量が減少する傾向があるものの、地盤を固める薬液を注入すれば減少を抑える効果があるなどとする、解析結果を示しました。
リニア中央新幹線は、JR東海が2027年の開業を目指していますが、静岡県は、南アルプスの生態系などに影響があるなどとして、県内での着工を認めていません。
これについて、国土交通省が設けた有識者の10回目の会合が、23日、東京で開かれ、JR東海が、トンネル工事による上流部の沢の流量に与える影響について、新たな解析結果を示しました。
それによりますと、「不確実性を含む」とした上で、大井川の流域で、主要な断層とトンネルが交差する沢では、流量が減少する傾向が見られたものの、事前に、交差する場所に地盤を固める薬液を注入すれば、減少を抑える効果が期待されるとしています。
このほか、会議では、地形や生物の生息状況から、35の沢をぞれぞれ類型化した結果などが示され、今後は、影響を受けやすい沢を抽出し、動植物への影響を議論することになりました。
会議にオンラインで参加した静岡県の森貴志副知事は「論点が明確でわかりやすい議論だった。薬液の注入については、県の専門部会で専門家に改めて確認したい」と述べました。