浜松市のNPO法人 “アワビの陸上養殖” 6月で事業終了へ

浜松市の山あいにあるNPO法人は、8年前から市と協力して試験的に取り組んできた陸上でのアワビの養殖について、生産量を増やすことができず本格的な商品化の見通しが立たないことなどから、6月で事業を終えることがわかりました。

アワビの陸上養殖の事業は、浜松市の山あい天竜区佐久間町で2015年から地元のNPO法人と市が協力して地域の新たな産業にしようと、試験的に進めてきたものです。
初めの5年間は市の委託事業として、その後は、市のまちづくり事業に採択され、運営資金としてNPO法人に3年間で約2700万円が交付されていました。
しかしアワビが気温の変化や水質の低下が原因で死んでしまい、生産量を増やすことができなかったことに加え、塩水を調達する費用や施設内を冷やすための電気代なども負担が大きく、現状では商品化の見通しは立っていないということです。
このためNPO法人では今月で事業を終えることを決め、すでに5月、設備の稼働を停止したということです。
一方で、現在拠点としている養殖設備はそのまま残したいとしていて、淡水で育てられる魚種の養殖を検討するとともに、市と協力しながら陸上養殖事業に意欲のある個人や企業を募集したいとしています。
NPO法人「がんばらまいか佐久間」の大見芳理事長は、「山間地域を盛り上げようという思いで始めたが、関わってきた人たちのことを考えると、残念だ。せっかくここまで整えたので、違う形で施設を活用できるようにしていきたい」と話していました。