川勝知事が山梨県知事に謝罪 事前説明せずJR東海に文書

リニア中央新幹線のボーリング調査を巡って静岡県がJR東海に山梨県側の区間を掘削しないよう求める文書を出した問題で静岡県の川勝知事と山梨県の長崎知事が対立する中、24日に都内で開かれた会議で2人が対面し、川勝知事が山梨県に事前に説明もせず文書を出したことを謝罪しました。

JR東海がことし2月から山梨県内で進めているリニア中央新幹線のトンネル工事のボーリング調査を巡っては、調査による掘削で静岡の地下水が山梨県に流れ込む懸念があるとして、川勝知事が事前に山梨県に説明せずに5月に県境から山梨県内の約300メートルの区間の掘削を中止するようJR東海に求める文書を提出したことに対し、長崎知事が「調査で出た水は山梨の水という考えだ。事前の調整もなく違和感は拭えない」と不快感を示し対立しています。
2人の知事は24日に都内で開かれた関東の1都6県と静岡、山梨、長野の知事らが出席する関東地方知事会議で、騒動後、初めて対面しました。
会議の開始直前に長崎知事の隣に座った川勝知事は「説明なく文書を出し大変失礼しました」と謝罪しました。
会議のあと取材に応じた川勝知事は、謝罪しながらも「調査中止の要請は以前から県としてJRに求めている」として文書を撤回しない考えを示した一方で、それぞれの携帯電話の番号を交換したことを明らかにし、「山梨県にご理解いただくため、コミュニケーションを密にするため、知事同士やリニアを担当する副知事同士などで連絡を常にとれる体制を構築した」と述べました。

長崎知事は関東地方知事会議の前後で隣の席に座っていた静岡県の川勝知事と言葉を交わしたほか、今後は意思疎通を図るため携帯電話の番号を交換しました。
会議のあと長崎知事は記者団の取材に応じ、やりとりの中で長崎知事からボーリング調査については静岡県だけでなく沿線自治体からなる建設促進期成同盟会の場で懸念や問題意識を共有したらどうかと提案し、川勝知事からは「良いアイデアだ」と応じる姿勢が示されたと説明しました。
その上で、「期成同盟会としてそれぞれが抱えている重要な問題点を共有して、どう向き合っていくかを考えていく方向で話をした。リニアを進めていくために地域のいろんな懸念をメンバー全員が共有して、一致団結して取り組むことが必要だ」と話していました。

一方、去年まで県の副知事や理事としてリニアを担当していた静岡市の難波市長は24日の定例会見の中で、今回話題に上がっている静岡県境まで300メートルの位置までの山梨県内でのボーリング調査について意見を問われ、「個人的見解をはっきり申し上げるが、ボーリングについては県境まで掘ってもいいと思っている」と答えました。
理由について、掘る穴の断面が大きいトンネル本体については県境まで掘ると静岡県側の水を引っ張る可能性があるとしながらも、今回の断面が小さいボーリング調査については「300メートル先まで水を引っ張ることは考えられない」と説明しました。