熱海市が復興計画“見直し” 買い取り方針から工事費用補助へ

熱海市が復興計画“見直し” 買い取り方針から工事費用補助へ

熱海市がおととしの土石流で被災した伊豆山地区の復興に向けてとりまとめたまちづくりの計画を事実上、見直したことがわかりました。
計画では被災者の生活再建に向けて被害を受けた宅地を市が買い取って整備する方針でしたが、これを見直し、宅地の復旧工事は被災者が行い市がその費用を補助することを決めました。

熱海市は土石流で被災した伊豆山地区の復興に向けて去年とりまとめた復興まちづくり計画の中で、被害を受けた宅地を市が買い取った上で整備し、住宅の再建を希望する人に2025年度中に分譲する方針を盛り込んでいました。
ところが、この方針に対して被災者からは「もともと住んでいた場所に戻れなくなるのではないか」とか、「分譲地の購入価格が土地の売却価格を大幅に上回った場合、購入できるか不安だ」といった懸念の声が相次いで寄せられたということです。
このため市が検討を進めた結果、これまでの計画を見直し、宅地の地盤などの復旧工事は被災者が行い、市がその費用の9割を補助する方針を決めたことがわかりました。
市はこの新たな方針について被災した住民にチラシを郵送して伝えていて、今後、説明会も開きたいとしています。
熱海市復興調整室は「被災者から意見を聞いて、なるべく不安を軽減した形で一日でも早く地区に戻れるよう方針を見直した。被災者の皆さんには補助制度を活用してもらいたい」としています。

【被災者“早く決めてほしかった”】
土石流で自宅が全壊し今は神奈川県湯河原町のアパートで暮らしている太田滋さん(66)と妻のかおりさん(57)の元には、22日に熱海市から方針の見直しを知らせるチラシが届きました。
2人は住み慣れた自宅のある土地を手放したくないと考えていて、市が被害を受けた宅地を買い取って整備するとした当初の計画には反対していたといいます。
太田滋さんは「被災者の意見を聞かずに計画をつくったから、今回見直すことになったんだと思います。補助をしてもらえるのはありがたいですが、もっと早く方針を決めてもらえれば、その時点で被災者が選択肢をもてたのではないか」と話していました。
また、妻のかおりさんは「住民の意見が100%は無理でも、ある程度盛り込まれて希望がかなえられていれば計画にもっと協力したし、積極的に自分たちのまちをつくっていこうという思いになれたと思います。出発点からして違っていたのかなと思います」と話していました。