伊豆諸島の地震 京都大学防災研究所・西村卓也教授に聞く

5月に入って国内では震度5弱以上の揺れを観測した地震が相次いでいます。

5日には能登半島沖の地震で石川県珠洲市で震度6強を観測。
同じ5日に珠洲市で震度5強。
11日には千葉県南部の地震で木更津市で震度5強を観測。
13日にはトカラ列島近海の地震で鹿児島県十島村の中之島で震度5弱。
そして22日には新島・神津島近海の地震で震度5弱。
「最近地震が多いな・・」「南海トラフが近い?」気になる方もいると思います。
地殻変動が専門の京都大学防災研究所の西村卓也教授に聞きました。

Q.なぜ新島・神津島近海で地震が相次いでいるのでしょうか?
A.「伊豆諸島から伊豆半島にかけてはフィリピン海プレートが本州に衝突し、ひずみがたまりやすい場所です。過去にも大きな地震が起きていて、特に2000年は三宅島の噴火活動をきっかけに広い範囲で非常に大きな地震活動がありました。今回の震源域はいわばその北端にあたるといえます。伊豆諸島一帯の地震全般に言えることですが、マグニチュードが5程度であっても、震源が浅く島に近いこともあって突き上げるような揺れになります。私もかつて経験しましたが、宿にダンプカーが衝突したかと思うような衝撃でした」。
新島・神津島近海では3年前にもマグニチュード5の地震で利島で5弱の揺れを観測するなど地震活動が活発です。
特に2000年は6月以降、約半年にわたって活動が続き、震度6弱の揺れを観測する地震は1か月に3度も発生しています。
Q.今回の活動が2000年のように続く可能性はあるのでしょうか?
A.「1つ気になるのは、火山活動に伴う地震活動である可能性が残っていることです。その場合、マグマの移動に伴って続くため、群発地震のように長く続く傾向があります。ただ、現段階では見通しがつきません。まだ兆候はありませんが、地震活動に加えて地殻変動のデータを見ていく必要があります」
Q.このところ各地で地震が続いていますが、関連性はあるのでしょうか?
A.「確かに最近、地震が相次いでいますね。ですが、相互に震源は離れていますし、地震のメカニズムも違います。関連性は見いだしにくいです。日本列島はプレートの押し合っている場所に位置していて、いろんな場所が連動しているように見えてしまいます」
Q.トカラ列島でも地震が相次いでいて、SNSなどでは南海トラフの巨大地震との関係を心配する声もあります。
A.「トカラ列島の地震が起きている場所は伊豆諸島と似ていて、陸側のプレートの中です。群発になりやすい特性も伊豆と似ています。ただ、南海トラフの震源域とトカラ列島は離れていますし、直接関係性はないと思います」
「今回の伊豆諸島での地震については、まず強い揺れに対する備えが重要です。身近にできるのは家具の固定。高いところにあるものを移動させるなどして、けがをしないようにしてください。また、都市部に住んでいる方も、大きな地震に対する備えを再確認してほしいと思います。食料の備蓄や飲料水の確保をはじめ、特に首都圏で通勤される方は公共交通機関が止まることもイメージしてください。地震があったときにどうするか、連絡手段を確認しておくことも重要です」