JR東海 リニアボーリング調査に理解求める 県の専門部会で

リニア中央新幹線の工事による県内の水資源への影響を議論する県の専門部会で、JR東海は川勝知事が中止や説明を求めている山梨県側からの静岡県境へのボーリング調査について、これまでの地質調査の結果では影響は小さいとして理解を求めました。

26日の県の専門部会では、JR東海がことし2月に開始し水の流出の懸念があるとして川勝知事が中止や説明を求めている山梨県側から静岡県境に向けたボーリング調査について議論が行われました。
これについてJR東海の担当者は、4月15日までに静岡県境から677メートルの地点まで掘削を進めていることを報告しました。
そして、これまでの地質調査の結果を示し、一部で想定よりもろい地盤が確認されたものの湧き出る水の量は少なく、今後、県境に向けて掘削を進めても大量の水の流出や自然環境への影響の可能性は小さいと考えられると説明しました。
その上で、県境から300メートル以内に入ったあとは、湧き出る水の量や水質の測定や公表に加えて、一定の基準を超えた場合にはボーリング調査を中止するなど慎重に進めていくとして理解を求めました。
一方、県の森貴志副知事が県境付近のボーリング調査で水が湧き出た場合静岡側に水を戻す考えがあるか尋ねたのに対し、JR東海の担当者は「山梨県で出てきた水が静岡側から流出してきた水なのかしっかり考える必要があり、今のところ考えていないが、今後、議論していきたい」と応じました。

会議のあと、県の森貴志副知事は「水を戻す方法について議論を進めてきた中で、山梨県で掘削した時に『そこに静岡の水があるかないか』という議論になってしまったのは少し残念だ。科学的・工学的な見地から議論を進め、静岡県の水が山梨側に流れているかどうか判明するまでは、JRには水を戻す方法の検討も含め、しっかりとした対応を求めていきたい」と述べました。

会議のあと、JR東海中央新幹線推進本部の澤田尚夫副本部長は「静岡から山梨に水が流れることはありえるが、ボーリング調査に全く関係なく水が流れていることもある。『何が何でも全部戻しなさい』ということではないのではないか、対話の前提として整理できないか、と考えを述べた。現状で山梨の地下水を静岡に戻す考えはないが、今後、県ともよく相談して対応を考えていきたい」と述べました。