リニア 静岡市の協議会 環境影響の議論停滞 指摘相次ぐ
リニア中央新幹線の工事による環境への影響を議論する静岡市の協議会が開かれ、JR東海が示している土砂を山中で盛り土にする案について、山の深層崩壊が起きた場合のシミュレーションを示すよう有識者からJRに求める意見が出ました。
静岡県が着工を認めていないリニア中央新幹線の静岡工区の工事を巡っては、現場が静岡市北部の南アルプスの山中になることから、市は7年前から有識者による協議会を設置して自然環境への影響について議論しています。
17日は、市の担当者が国の有識者会議の進捗状況を報告し、市として国に対し、大井川の水の減少による生態系への影響や、370万立方メートルとされる掘り出した土砂の処分について国やJR東海に懸念を伝えていることを報告しました。
これについて国の有識者会議の委員も務める静岡大学の増澤武弘客員教授が、「長く議論しているが、国が何かを解決したという方向には行っていない」との認識を示したほか、ほかの出席者も「市が指摘した意見が一向に進んでいない」など、環境に関する議論の停滞を指摘する声が相次ぎました。
また、JR東海が、工事で掘り出した土砂を山中で最大65メートルの盛り土にする案を示していることについて、山の深層崩壊が起きた場合のシミュレーションを示すようJRに求める意見も出ました。
市は、17日に出た意見を国やJRに伝えることにしています。