大雨被害で運休続く大井川鉄道社長「復旧に公的支援を」

台風15号の大雨の影響で鉄道の運休が続く大井川鉄道の社長がNHKの取材に応じ、今回、大井川本線と井川線の合わせて46か所で土砂の流入や倒木などの被害を受けたことを明らかにしました。鉄道の復旧や事業存続のためには、道路の復旧のように、国や県などの公的支援が欠かせないと訴えています。

島田市福用にある採石場跡地から流れ出た土砂で線路が埋まるなどして、大井川鉄道は、9月24日から全線で運休が続き、大井川本線ではバスによる代行輸送を行っています。
これに関連し大井川鉄道の鈴木肇社長がNHKの取材に応じ、採石場跡地から流れ出た土砂の流入を含め、大井川本線の20か所と井川線の26か所で、被害を受けたことを明らかにしました。
このうち、採石場付近では、静岡県が費用を負担して線路上の土砂を撤去するとともに、土砂の崩落を防ぐ防護壁の設置を行うことになったものの、このほかの箇所は、保険などを活用しながら自社の負担で復旧作業を行うことを余儀なくされているということです。
鈴木肇社長は、新型コロナの感染拡大などで利用者が減った地方鉄道を存続させるためには、「道路整備をするように支援があれば、鉄道事業がもっと存続しやすくなる。鉄道というインフラを守るためには国・県でなければ無理だと思う」と話し、災害時の鉄道の復旧には公的な支援が欠かせないと訴えました。

《一部で運行再開も全線復旧の見通し立たず》
大井川鉄道によりますと、井川線は川根本町の千頭駅と接岨峡温泉駅の間で8日に運行再開を予定しているほか、大井川本線は、島田市にある金谷駅と家山駅の間でことし12月上旬の運転再開を目指しています。いずれも全線で復旧する見通しはたっていません。