通園バス園児死亡事件から1か月 理事長「慢心が一番の原因」
9月、3歳の女の子が通園バスの車内に取り残されて死亡する事件が起きた牧之原市の認定こども園を運営する理事長がNHKのインタビューに応じ、「慣れや慢心が一番の原因だと思う」と述べました。
認定こども園「川崎幼稚園」では3台のバスを運行していて、事件当日は運転手の1人が用事で送迎できなかったため、増田立義元理事長(73)が1台のバスを運転することになり70代の乗務員の女性が同乗しました。
ところが、こども園では、乗車した園児の名簿と降りた園児を照合するルールを設けておらず、増田元理事長や乗務員は車内を十分に確認しないままバスを降り、女の子が取り残されました。
今回の事件を受けて、増田元理事長の長男で学校法人の新しい理事長に就任した増田多朗氏がNHKのインタビューに応じ、「まさか自分の園で起こるはずがないという気持ちがあった。慣れや慢心が一番の原因だと思う」と述べました。
そして、園が送迎のために3台のバスを運行していたことについて、「少子高齢化もありいろんなところから子どもを迎えに行って園児の数を増やすことを考えていた。定員割れになっていたことへの危機感もあり、多少無理をしていた」と園の実情を明かしました。
その上で、3年前からは、保育士の負担を減らすため、3台のバスの乗務員の仕事をシルバー人材センターから派遣を受けた外部スタッフに依頼していたとして、「ふだん一緒に接している保育士がそこに座っていれば、今回のようなことはなかったと思うので、本当に悔やまれます」と述べました。
園ではバスによる園児の送迎を当面、中止するとしていますが、増田理事長はバスの送迎を再開する場合、派遣されたスタッフに乗務員の仕事を依頼するのをやめ園の保育士が同乗する方向で検討を進めていることを明らかにしました。
また、今回の事件が起きた白いバスについては今後は使用せず、バスの運行自体についても、バス会社に委託することを視野に検討しているということです。
増田理事長によりますと、こども園では今回の事件を受けて増田元理事長が辞任したほか、副園長とクラスの担任、それに副担任がそれぞれ退職したということです。