静岡市清水区 巴川ブロックと興津ブロックで供給水の飲用可に

台風15号の被害による静岡市清水区の大規模な断水で、静岡市は、すでに生活用水を供給している巴川ブロックと興津ブロックの2つの地区、あわせて3万1千世帯について、28日午後、水質に異常がないことが確認されたとして、飲み水として使っても問題ないと発表しました。

静岡市清水区で発生した約6万3000世帯の大規模な断水で、市は27日から巴川ブロックと興津ブロックのあわせて3万1000世帯にトイレなどに使える生活用水の供給を始めています。
静岡市上下水道局は28日午後5時に記者会見し、この2つの地区の水について、検査を行った結果、水質に異常がないことが確認されたとして、飲み水として使っても問題ないと発表しました。
これで断水していた世帯の約半数が復旧したことになります。
静岡市は、取水口の流木の撤去作業が28日午前0時ごろに終わるなど当初の計画より作業が早く進んでいるとしています。
このため、JR東海道線の線路の南側から三保半島にかけての2万1000世帯は給水計画を1日前倒しして28日夜から生活用水の供給作業を開始し、30日をめどに飲み水として使えるか判断するとしています。
一方、清水区御門台地区の周辺でも約2000世帯が断水していることが新たに確認されたということで、現在の断水しているのは約3万4000世帯だということです。
静岡市は10月5日までに、水道管が通る橋が流されたことで断水になっている和田島地区も含め、すべての地区で全面復旧を目指すとしています。

静岡市清水区で飲料水としての利用が可能になったことを受けて、住民からは安どの声が聞かれました。
このうち清水区巴町にある平野美保子さんの自宅では、市の発表がある直前、大阪に住む友人から平野さんを心配して18リットル分のペットボトルが自宅に届きました。
そして、市の防災無線やホームページで飲み水として利用しても問題ないことが知らされると、平野さんはさっそくコップに水を注いでおいしそうに飲んでいました。
平野美保子さんは「とてもおいしいです。きのうから水が使えるようになって、けさからは水量も通常に戻りました。そしてきょうからは料理や飲み水としても使えるようになったのでありがたいです」とほっとした表情で話していました。

《水管橋の崩落で約4500世帯で断水続く》
台風15号の影響で静岡市清水区では水道管が通る橋、水管橋が崩れ落ち、今も約4500世帯で断水が続いています。
市は29日から工事を始め、10月5日に飲み水の利用を可能にしたいとしています。
台風15号の記録的な雨で、静岡市清水区清地の興津川にかかる長さ約60メートルの水管橋が崩れ落ち、隣接する橋にひっかかったままになっています。
この水管橋から水の供給を受けていた清水区の但沼町や小島町興津の一部などの約4500世帯で今も断水が続いています。
このうち但沼町の学習交流館には給水所と仮設トイレが設置されていて、地区の人たちが集まり水をタンクなどに入れてもらうなどしていました。
付近に住む高校生は「水が出始めているところがあるというのは知らなかったです。この辺りは水が出ないのであまり実感がないです。高齢の方が1人で水を汲みに来る家庭は本当に大変だと思います」と話していました。
静岡市によりますと、新しい水道管の調達に時間がかかったため、水管橋は29日から復旧工事を始めることになりました。
工事では隣接する橋に水道管を取り付ける応急的な復旧を目指す予定で、10月2日から通水を始め、水質検査を実施したうえで5日に飲み水としての利用を可能にしたいとしています。

《後片づけなどで使うタオルを集める活動》
記録的な大雨で被害を受けた人たちを支援しようと、富士市で後片づけなどで使うタオルの回収活動が行われています。
これは富士市の市民団体の呼びかけで26日から始まり、市内の4か所で家庭で使わなくなったタオルなどの提供を受け付けています。
このうち富士市のボランティアセンターには回収用の段ボールが置かれ、午前中から多くの人たちが訪れ「役立ててください」などと声をかけながらタオルを届けていました。
そして、集まったタオルは職員と市民団体のメンバーが新品とそれ以外に仕分けて箱や袋に詰めていました。
市民団体によりますと、これまでに集まったのは約1400枚で、静岡市と島田市の社会福祉協議会に届けるなど要望があった地域に随時送ることにしています。
職場でタオルを集めたという女性は「被害が県内の広範囲に及んでいると聞いたので、いろんなところで使っていただければ」と話していました。
市民団体、FujiことはじめSASAERUの赤澤佳子代表は「浸水被害の被災地ではタオルが足りなくなると聞きました。被災された場所の周りの地域の人が連携して支援することが大切だと思います」と話しました。
タオルの回収は、富士市社会福祉協議会ボランティアセンターと富士市民活動センター、オーロ放課後クラブ、それに居場所Omoiの4か所で10月30日まで受け付けています。

《磐田市北部の県道開通の見通し立たず》
記録的な大雨の影響で静岡県磐田市北部の県道では数百メートルにわたって土砂崩れが起き、重機で土砂を取り除く作業が続けられていますが、県によりますと開通の見通しは立っていないということです。
静岡県と磐田市によりますと、市内北部を通る県道磐田天竜線では、記録的大雨の影響で平松地区と神増地区の2か所で土砂崩れが起きたということです。
平松地区では約500メートル、神増地区では約350メートルにわたって道路沿いの山の斜面から土砂が流れ出たということで、近くの住宅など52棟に浸水の被害が出ました。
けがをした人はいませんでした。
このうち神増地区では土砂が住宅などに流れ込み、1階部分を埋めてしまったり車庫と見られる建物が押し流されたりしていました。
プラスチック加工の工場では土砂がシャッターや扉を破って1メートル以上の高さまで流れ込み、機械や製品などが埋まってしまったということです。
従業員がくわなどで土砂をかき出していますが、いまだ腰の高さを超える土砂が積もっている部分が多く、工場の稼動を再開する見通しは立っていないということです。
70代の社長は「こんなことは初めてで驚いている。とにかく土砂の量がすごくて手に負えない。機械もすべて使えないだろうし、これからどうしたら良いのか、一歩一歩進むしかないが先が見通せない」と疲れた様子で話していました。

《県内6市町で断水続く》
静岡県によりますと、県内では大雨の影響で28日午後3時時点で6つの市や町で断水が続いています。
自治体別では、静岡市清水区の6万3000世帯のほか、川根本町の高郷地区などで165世帯、浜松市天竜区の横川地区などで133世帯、藤枝市の一之瀬中央地区などで49世帯、島田市の一色地区などで27世帯、森町の鍛治島地区で8世帯となっていて、市や町が各地区に給水タンクを設置するなどして対応しています。
3つの市と町では自動車が行き来できない孤立している地域があります。
自治体別では、静岡市葵区の中藁科と清水区両河内のあわせて16世帯、島田市の川根地区で2世帯、川根本町の壱町河内地区で11世帯となっています。
また、28日午後3時現在、県内の15の市と町で住宅あわせて4743棟に床上や床下が浸水する被害が出ています。

《清水エスパルスとジュビロ磐田の試合が延期》
台風15号の被害で大規模な断水が続いている静岡市清水区に本拠地を置くサッカーJ1の清水エスパルスは、10月1日に行われる予定だったジュビロ磐田との試合、いわゆる静岡ダービーを延期すると発表しました。
エスパルスによりますと、10月1日にジュビロとの試合が行われる予定だった清水区にあるIAIスタジアム日本平は現在も断水が続いています。
こうした中、クラブがJリーグや静岡市と協議した結果、試合3日前の現時点でも断水が復旧していない上、スタジアム周辺で土砂崩れも確認されていて、サポーターの安全確保や試合進行が困難なことから、10月1日の試合を延期すると発表しました。
延期になった試合の開催日やチケットの払い戻しなどについては、決定次第、ホームページなどで知らせるとしています。
ともに静岡県内に本拠地があるエスパルスとジュビロのいわゆる静岡ダービーは人気で、この試合のチケットは完売していたということです。
エスパルスは「皆様にはご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。被災された皆様には謹んでお見舞い申し上げ、1日も早い復旧と日常が戻ることを祈っています」とコメントしています。

《県内の災害として拡散の画像は“偽の画像”》
台風15号による豪雨をめぐり、ドローンで撮影した静岡県内の災害の様子だとする画像がSNS上で拡散しましたが、NHKの取材に対し投稿者は「AIが画像を生成するサービスを使った」などとして偽の画像であることを認めました。
専門家は「AIの技術は、あたかも実際の災害のような画像さえも作り出せることを認識する必要がある」と注意を呼びかけています。
台風15号による豪雨の影響で静岡県で浸水などの被害が出る中、26日、ツイッターにドローンで撮影した静岡県内の災害の様子だとする画像が投稿されました。
画像では住宅地が広い範囲で浸水しているような様子が見え広く拡散されましたが、信頼性についての指摘が相次ぎ、NHKの取材に対し投稿者は「AIが画像を生成するサービスを使った」などとして偽の画像だということを認めました。
情報セキュリティーが専門の国立情報学研究所の越前功教授によりますと、投稿者が使ったとされるサービスは入力した文章に沿った画像をAIが生成するもので、注意深く見れば不自然な箇所は見つかるものの画質が悪いと判別がしづらく、手軽に巧妙な偽の画像を作り出せてしまうということです。
投稿画像を改めて確認すると、ビルのような建物が不自然な形をしているほか、静岡県内でここまで大規模な氾濫は発生していなかったことなどを知っていれば疑わしい画像だと気づけそうなポイントがあります。
災害時のSNSを巡っては、6年前の熊本地震の際に「動物園からライオンが逃げ出した」などとうその内容をツイッターに投稿して動物園の業務を妨害したとして偽計業務妨害の疑いで逮捕者もでています。
また、災害時の被災地の画像が誤っている場合、被災者が避難の判断を間違えてしまったり、確認のため防災機関に負担がかかったりします。
越前教授は「AIの技術を使うとあたかも実際の災害のような画像さえも作り出せることがわかった事案だ。SNSのユーザーである私たちが認識する必要があり、シェアする時は情報源などをしっかりと確認してほしい」と話しています。
これらの偽の画像について静岡県は「今回の大雨被害ではないとみられる」としたうえで、災害時の誤った情報に注意するよう呼びかけています。
28日の記者会見で県危機管理部の杉山隆通危機報道官は「災害時は間違った情報が1人歩きして事実のように伝わることがある。情報を発信する場合は市や町の情報を参考にしてもらうほか、情報を受け取る側も冷静に情報を捉えてほしい」と述べ、災害時の誤った情報に注意するよう呼びかけました。