【経済解説】転職は当たり前?Z世代の仕事観

(キャスター)
身近な経済の話題を掘り下げるたっぷり経済。静岡経済研究所の恒友仁常務理事とお伝えします。

【Z世代とは?】
(静岡経済研究所・恒友仁常務理事)
突然ですが「Z世代」という言葉はご存じですか。
(キャスター)
ええ、最近よく耳にします。若い世代でいわゆるデジタル世代。ネットを通じた情報発信力の高さから、企業や製品の口コミにも大きな影響力を持っていると聞いたことがあります。
(恒友常務理事)
よくご存じですね。一般的には90年代の中ごろから2000年代に生まれた世代で、12歳から26歳がZ世代に当たります。アメリカで同年代を指す「ジェネレーションZ」が語源で、この世代はSNSを通じて日常的に世界中の情報にアクセスしています。そして、さまざまな情報から、自分に合ったものを選び出し、「自分らしさ」を追求する傾向が強いという分析もあります。
(キャスター)
私はいま41歳なので、世代ではないのでちょっと遠い世界ですかね。
(恒友常務理事)
そうですか。Z世代が持つほかの世代とは異なる価値観や消費傾向などを正しく捉えることは、企業が採用活動やマーケティングを行う上で重要な要素となっています。

【「仕事には満足」だけど…】
(キャスター)
いろんな意味で注目の世代であるといえますね。
(恒友常務理事)
そうなんです。ただし仕事よりも自分や家庭、プライベートを優先する傾向が強いとも言われています。ではZ世代の「仕事に対する意識」について考えていきましょう。

これは当研究所が今年6月に行った調査です。
「仕事に対する満足度」を聞いたところ、県内で働くZ世代の47点8%が「満足している」と答えており、ほかの世代と比較すると高い水準を示しています。

[仕事への満足度]
▼Z世代…47.8%
▼27歳〜41歳…35.3%
▼42歳〜57歳…30.8%

(キャスター)
先ほど仕事よりもプライベートを優先する世代であると説明がありましたが、意外な印象を受けますね。
(恒友常務理事)
私の推測ですが、もともと仕事に対する期待値が低く、多くを望んでいないため、現状を肯定する傾向が強いのではないでしょうか。
ただし「仕事への満足」と「会社への満足」はイコールではないように思います。

【高い転職志向】
(キャスター)
というと?
(恒友常務理事)
「現在の会社で働き続けたいか」という質問をしたところ、Z世代の43.5%が「転職したい」と答えており、ほかの世代と比較して、顕著に高い数値となっています。

[「転職したい」という回答]
▼Z世代…43.5%
▼27歳〜41歳…38.3%
▼42歳〜57歳…28.6%

しかもZ世代の3割が、すでに転職を経験していることも判明しました。
(キャスター)
他県と比べるとどうなんですかね。
(恒友常務理事)
「現在の会社で働き続けたい」と答えた割合は、東京では32.5%、県内では41.1%あります。東京の方が職業の選択肢が多く、他と比較する機会が多いためだと思います。

【組織貢献よりも「自分の成長」】
(キャスター)
仕事への満足度とは一致しないということですね。なぜなんでしょうか。
(恒友常務理事)
経済的な理由や家庭の理由など動機はさまざまだと思いますが、Z世代が「どのようなことに仕事に対するやりがいを感じているのか」を見ていくとその理由の一端をかいま見ることができると思います。

[どのようなことに仕事に対するやりがいを感じているのか]
▼スキルアップや自己の成長…47.1%、
▼報酬…45%
▼興味のある分野の仕事…35.7%
▼新しいことへの挑戦…27.1%
▼目標に対する達成感…22.9%
▼責任ある仕事…12.9%
▼チームワーク…11.4%

この結果からはZ世代が仕事をする上で重視しているのは、「責任ある仕事」や「チームワーク」などの「会社」や「組織」に対する貢献より、自身の成長に直結する行動や自分の将来を見据えた行動であると言えると思います。
(キャスター)
いまの仕事に満足していても、ほかに自分の興味のある仕事やスキルアップにつながる仕事が見つかれば転職を選択する可能性があるということですね。
(恒友常務理事)
そうですね。私の世代は入社したら定年まで勤めあげることが、共通の価値観でした。しかし終身雇用や年功序列型賃金が象徴する日本型雇用システムが、なくなりつつありますし、コロナ禍で働き方改革がさらに進み、新しい価値観を持つ世代の登場によって大きな転換期を迎えているのかもしれません。実際にことし3月に経団連が発表したレポートでも、日本経済再生のためには、新事業をおこすことが必要であり、それを担う人材を確保するためにも転職市場を整備する必要があると説いています。

(キャスター)
ただ企業にとっては、いかに従業員を確保・定着させるかも大きな経営課題でだと聞きますよね。
(恒友常務理事)
先ほどZ世代の43.5%が転職の意向があると紹介しましたが、現在の会社で働き続けたいと答えたのは41点4%。とくに考えていないの10.7%を含めると5割を超えます。ですから継続してこうした従業員の定着化を図っていくことも重要で、従業員の意向を配慮したキャリア開発支援やワークスタイルを提案する人事制度の充実に取り組むべきだと思います。