”2億4000万の寄付金”はどこへ?【たっぷりリサーチ】

視聴者の疑問をNHK静岡が取材する「たっぷりリサーチ」60代の男性から投稿をいただきました。
「以前、静岡の子供たちのためにと3億円の寄付のニュースがありました。どう使われたのでしょうか?」
(2022年7月22日放送)

【寄付金はどこへ?】
(キャスター)
私は4月に静岡に来たんですが、そんなことがあったんですか。
(記者・三浦佑一)
去年1月に静岡市が発表しました。こちらです。
「篤志家の方から、『静岡市の子ども・教育のために』と、2億3818万8205円のご寄附をいただきました」「御意志により、氏名やご寄附の経緯詳細等の公表は差し控えます」。そして「市長からのコメント」として「子ども・教育のために有効に活用させていただきます」とあります。
(キャスター)
2億3800万円。すごい額ですね・・・。
経緯の公表は控えるということですが、使いみちは気になりますね。
(記者)
静岡市財政課に取材しました。2つの目的で使ったといいます。1つは子どもの医療費助成。保護者が払う自己負担を▼通院の場合は1回最大500円、▼入院ではゼロにするための費用。もう1つは学校のパソコン室のパソコンやモニターなどのリース代ということです。

【寄付が市の貯金に?】
(キャスター)
ちゃんと子どもたちのために使ったんですね。
でもちょっと待ってください。確かに子どもや教育のためですが、医療費の助成や学校のパソコンのリース、静岡市はそれまでやってなかったんですか?
(記者)
そのご指摘、私も気になりました。
よくよく確認すると、中学生までの医療費の助成制度は10年前から行われていました。パソコンのリース代ももともと毎年支払われているということです。
(キャスター)
つまり、医療費の助成も学校のパソコンも、寄付がなくても市が税金でやっていたということですか?
(記者)
そういうことになります。寄付があったぶん医療費助成が手厚くなったり、パソコンが増えたりしたわけではないそうです。もともとこの2つには寄付があった2020年度で寄付金の額の10倍となる24億円が使われていて、使うはずだった税金の一部が寄付金に置き換わって浮いたということです。
(キャスター)
その浮いた税金は何に使われたんですか。
(記者)
財政調整基金、つまり市の貯金にしたということです。貯金のお金に色は付いていませんから、市の借金の返済やインフラ整備、ほかの社会保障費など、いろんな目的に分散していくことになります。
(キャスター)
寄付をした方が望んだ、子どもや教育の予算が手厚くなったというわけではないんですね・・・。
(記者)
例えばまとまった寄付があったから子ども医療費の自己負担を500円から300円に減らしたり、無料にしたりした場合、寄付金を使い切ったらまた元に戻すのか?という問題が出てきます。一時的な寄付を理由に新しい施策や制度を作るのは難しいということです。市の担当者の話です。

(静岡市財政課・安武純一課長)
「具体的に『2億4000万こう使ってほしい』というのがなかった中で、広く『子ども・子育て教育に使っていただきたい』という訴えだと思うので、そういう意味では『これに』という、寄付があったから新たに事業(使いみち)を立ち上げるとか、そういうことは基本的にはしてないということですね。しっかり皆さんに広く『こういうふうに使わせていただきました』というのがわかるように、やっぱりやっていかなくてはいけないかなということで、そこは反省しなくてはいけない部分かなと思います」


【「ふるさと納税」使いみちを指定しても?】
(キャスター)
お金が無駄に使われているわけではないとは思いますが、モヤモヤしますね。
(記者)
これは「ふるさと納税」でも原則的に同じことだそうです。静岡市の場合、ふるさと納税では「新型コロナ関連施策」とか「困難を抱える子どもへの経済的支援」など21のテーマで使いみちを指定できます。ただこれらの項目も、集まった額に関係なく市が税金でやる方針を決めているものばかりだそうです。つまり、ふるさと納税の使いみちを指定しても税金の支出を置き換えるだけで、その分野で使う予算が直接増えるわけではないということです。

【使ってほしい目的で使ってもらうには?】
(キャスター)
では、本当に使ってほしい目的で使ってもらえるように寄付をするには、どうすればいいんですか。
(記者)
いくつか考えられますが、まず前提として大切なのは、自治体に寄付をする前に担当部署に相談することです。
(キャスター)
事前の相談、大事ですね。
(記者)
そして具体的な方法として、1つは現金ではなく現物を寄付することです。
(キャスター)
新型コロナ感染拡大の初期のころに、静岡市出身の広瀬すずさんが学校に消毒液を寄付したことがありましたよね。
(記者)
現場で必要な物を確認した上で買って贈るというのはわかりやすいですね。
2つめに自治体と協議してその目的のためだけにお金を出す特別な財布、「基金」を作ってもらうこと。これはかなり特殊なケースです。浜松市では10年前、地元の住宅メーカーが津波対策のために使ってほしいと寄付した300億円を、市が津波対策の基金に積み立てて、防潮堤が整備されました。
(キャスター)
浜松市の防潮堤、有名になりましたよね。
(記者)
そして3つめに、自治体が特定の目的で呼びかける寄付に応じることです。静岡市では5年前、日本平動物園で動物を増やすために1000万円を目標に寄付を募ったところ、1年半ほどで1700万円が集まり、ピューマやジャガー、ツチブタを購入し、飼育室の改修もできました。
(キャスター)
最近では、ウクライナからの避難者を支援するための寄付を呼びかけている自治体もありますよね。
(記者)
自治体もただ寄付を待つだけでなく「今はこれに寄付してもらえるとありがたい」という情報や受け入れ窓口を示したり、寄付がどう使われたのか積極的に説明したりして、寄付してみようかな、と思える雰囲気作りをしてほしいと思います。

皆さんも疑問やお悩みを「たっぷりリサーチ」へお寄せください。「たっぷり静岡」番組ホームページに投稿フォームへのリンクがあります。
https://www.nhk.jp/p/ts/5MN78XKQYX/blog/bl/pwB26QMWNw/